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79淑女教育の深い理由

 気がつくと、淑女教育を習い初めてから、三週間たっていた。


 そこで、ふと気づいたことがあった。

 なんで私が淑女教育を習っているんだということだ。


 私は別に、お貴族様と結婚する必要があるわけじゃない。


 でっ、気がつきました。

 この淑女教育、もしかして、私じゃなく、アイリーンの為だったんじゃないかと。


 アイリーンは、つい先日、すったもんだの末、ようやっと、イアンと婚約して、もうすぐ結婚だ。

 でも、アイリーンは今まで、王女としての教育は受けていても、貴族としての教育は、受けた事がないようで、宮廷での嫌味攻撃の避け方がいまいちなのだ。


 むしろ、現代日本の会社生活で、地道に会社のお局様たち(ここで決して自分も局だろとかは、考えない。)と渡り合っている私に方が、上手くやって行けそうな状態なのだ。


 うーん、アイリーンは、転生者とはいえ、会社生活を経験したわけじゃないから、仕方ないか・・・。

 そんな事をボウッと考えていたら、侍女長のリンに、いきなり質問された。


「黒子様、あなたに身分を振りかざして、文句を言ってきた令嬢がいたら、どうしますか?」


「喚くようなタイプなら、臆病ものが多いから、まずは睨みつけて尻込みさせた後、相手の方が身分が高そうなら、褒め殺しよ。」


 会社にも、良くいるんだよ。

 対して出来もしないのに、俺はエライんだってヤツ。

 でもエバらせてばかりだと、ぎゃんぎゃん喚かれるから、最初は睨み付けて、自分の優位を見せつける。

 次に、まともに言い合いしても、時間の無駄だから、そこは褒め殺し。

 適当に褒めてやれば、いい気分でいなくなるからね。

 後で恨まれるのも面倒だし、これが一番じゃないかな。


 リンは、最初、ポカーンと私の話を聞いて、次に笑みを浮かべると、アイリーンにも同じ質問をした。


「えっ、私だったら、黙って聞いているわ。」


「半分正解で、半分不正解です。」


「男性では正解ですが、女性の場合は、先程の黒子様のように、睨みつけて下さい。ただ黙って聞いてしまうと、侮って来る方がいますから、相手を最初に怯えさせ、次に甘いエサを撒くのは、大変よい作戦です。」


 アイリーンは真面目に頷くと、それをメモしていた。


 えっ、メモするの今の。


 さすが、アイリーン、真面目。


 こんな風に、王宮の半日が過ぎてゆくのだった。

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