77苦痛のお茶会2
私はレインに呼ばれ、丸いテーブルが置かれた庭園の席に着いた。
ふと見ると、そこに、いつの間にか現れた侍女が、レインに何ごとか耳打ちした。
レインは、頷くと、他の侍女がティーセットをもう一つ用意した。
「遅くなりました、レイン様。」
声の主を振り向くと、そこには、アイリーンが立っていた。
「本当、遅いわね。まあいいわ、早くお坐りなさい。」
レインの一言に、オドオドと、アイリーンは、引かれた椅子に腰を下ろす。
そこに、ルドルフが現れて、切り分けられた、絶品ケーキがテーブルに現れた。
この甘-い匂い。
もうダメ、ケーキから目が離せない。
全員が見守る中、ケーキが切り分けられ、目の前に置かれた。
私は、フォークを手に取りたくて、周囲を見た。
うれしいことに、全員がフォークを手に持って、徐に食べ始めていた。
とっ言うことは、食べていいんだよね、これ。
私は喜んで、一口食べた。
ファウー!
ふあふぁ、ほっぺ落ちそう。
何このラズベリーに似た味は、とっても幸せ!
気がつくと、あっという間に、完食していた。
全員が食べ終わったのを見計らって、マナが口を開いた。
「レイン、頼みがある。」
レインが薫り高い紅茶を口に含むながら、マナを見た。
「レインの侍女長を、一か月借してくれ。」
レインは目を丸くした。
「急に何を言い出すの?」
「黒子に、淑女教育を受けさせたいんだ。」
マナは必死にレインに言い募った。
「げっ。」
私は、思わず変な声を上げて、マナを見てしまった。
何ですとぉー、そんなこと、一言も聞いてません。
「嫌よ。王宮から彼女を、出さないわ。」
レインはすぐに、却下を言い渡した。
そこに、なぜか、いきなりアイリーンがその話に加わった。
「なら、レイン様。黒子を王宮に、お招きになれば、問題ないのでは?」
へっ、アイリーン、今、なんと言いましたか?
レインは少し考えるそぶりをして、それでも、許可を出さなかった。
「ダメよ。私の侍女長は、王族専用ですもの。」
レインの声が無情に響いた。
私の心は、歓喜に震えた。
ヨシ、ヨシ、ヨーシ。
偉いぞ、レイン様、もうひと押しだ。
「なら、私が黒子と一緒に、淑女教育を受けますわ。それなら問題はないでしょう。」
私は、思わずアイリーンの顔をまじまじと見てしまった。
レインは、嫌そうな顔をしたが、結局は、条件をクリアした為、その場で私の淑女教育なるものの話は決定されてしまった。
でも、私は働いているのを理由に、そう何度も、王宮に来れませんと主張したら、とんでもない答えが返ってきた。
「ああ、すまん黒子。言い忘れていた。昨日付で、黒子も、近衛隊に転属になったから、今後の職場は、王宮になるんで、そこは問題にならないよ。」
マナは、笑顔でそう言うと、最後に残されていた私のライフを根こそぎ削って、その日のお茶会は終了した。
なんで、こうなる。




