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68将軍の凱旋

 私たち北門の守備隊が戻って来てから、二週間後に、マナが率いる本隊が、王都に凱旋した。

 マナを含め、王都守備隊の面々が、王都の大通りを練り歩く。


 街中の人達が大勢、そこに駆けつけて、歓声を上げて、彼らを迎えた。


 北門の守備隊は、群衆が行進している彼らの前に、飛び出さない様に、交通整理中だ。

「おい、こら。前に出過ぎるな! けがをするぞ。」


 凱旋してきた兵士を見ようと、前に出過ぎた一般市民を、ブランが馬上から注意している。

 私は羨ましそうに、ブランを見た。


 かくいう私は、今、とても恥ずかしい格好で、練り歩く本陣の中央、それも、将軍の真横にいた。

 ある意味ベストポジションという羞恥心で死にそうな位置にいるのだ。


 どうして、こんなことに、なったのだろうか?


 発端は、今日の午前の砦での出来事だった。

 腹黒宰相ことホークから、お詫びの品と銘打った荷物が、北門の砦に届けられた。


 恐々と開けてみると、中には、私が戦闘中に纏っていた、超ド派手な甲冑とお揃いの、これまたドッカーンと派手なマントが入っていた。

「何これ!」


「あら、いいじゃない、これ。」

 私の荷物を、後ろから覗き込んていたシルバーが、背中が越しに、荷物の中身をみて、感想を述べた。


 これが良いって、さすがシルバー、なんて感性をしているんだ。

「よかったじゃない。今日の午後の凱旋パレードは、これを着て、出ればいいわ。」


「凱旋パレードって、なんでしょう!」

 私が聞きなれない単語を必死に、聞き返そうとしていると、突然ブランが、隊長室に駈け込んで来た。

「隊長、予定より早く、到着するそうなので、もう行きましょう。」


「あら、そうなの。いつもなら予定より遅くなるのに、しょうがないわね。」

 シルバーは、ブランが差し出した、派手な上着に、手を通すと隊長室の扉を開けて、通路に出た。

「ブラン、チビッ子を連れて来て、頂戴。」


「あっ、はい。分かりました。」

 気がつくと、ブランにあのド派手マントを着付けられ、広場につれて来られた。


 みると、シルバーはすでに馬上にいて、私がこれから乗る馬の手綱を掴んでくれていた。

「さあ、いくわよ。」

 私が呆気にとられていると、ブランが抱え上げて、馬に乗せてくれた。


 シルバーは私を連れて、王都の正門前に行くと、そこで本陣を率いて、凱旋してきたマナと合流した。

「今回は、大活躍だったな。二人とも。さあ、私の横に来なさい。これから凱旋パレードだ。」


 以上のような背景で、私はここにいる。

 本当は、この派手な鎧だけでも脱ぎたいのだが、北門の砦を出た途端、殺気がして、甲冑を邪魔だという意識が浮かび上がってこなかった。


 えーん、こんな目立つこと、内気な日本人の私には、無理です。

 誰か、助けて下さい。


 私が、そう思って、横を見ると、シルバーは満面の笑みで、若い街の男に向け、色気たっぷりの目線で、手を口に持って行くと、投げキッスを送っていた。


 ダメだ、こりゃ。

 私の不幸は、まだまだ続きそうだ。

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