67守備隊の帰還
私たちは、マラカナイト製の大砲のお陰で、少ない人数なのに、大国を相手に勝利した。
嫌な言葉だが、戦争はどこの世界でも、兵器の強さがものをいう。
そんな私たちが砦につくと、そこは負傷者を治療する戦場とかしていた。
リボンやドクターなどの医療に携わる人たちが、忙しく動いては、負傷者を治療していく。
私は、ブランの馬から降ろして貰ってから、へっぴり腰で食堂に向かった。
まだ体がさっきの戦いから回復していなかったが、空腹で死にそうだったのだ。
さらに、精神的にもヘロヘロだ。
なんとか這うようにして、食堂に着くと、そこには、杖を使いながらヨタヨタと歩く、パキがいた。
「パキ!」
私は、思わず声をかけていた。
「黒子さん、よかった。生きてたんですね。」
パキは、片手でトレーを器用に持つと、そのまま近くの席についた。
私も傍のカウンターからトレーを取って、それに食事を乗せると、パキの隣に腰かけた。
「もう大丈夫なの?」
私の質問に、パキは苦笑いを浮かべながら、答えてくれた。
「ええ、大丈夫ですよ。お陰で命に別状がない俺は、医療棟から追い出されました。」
パキは軽く肩を竦めた。
私は少し笑みを浮かべて、パキの話を聞いた。
もちろん、二人とも手は忙しなく動いて、食事をしながら、話をしている。
パキはこの近くの農村出身のようで、戦場が広がらないで終結したので、本当に良かったと何度も力説していた。
確かに戦場が広がって、せっかく耕したものがメチャクチャになったら、いくら国が補償してくれるとはいえ、やりきれないものは残っただろう。
私はひとしきり、パキと話して、満腹になると、自分にあてがわれた部屋に戻って、そのままベッドに突っ伏した。
なんだか、色々あり過ぎて、全く頭が働かなかった。
明日起きたら考えよう。
でも、絶対朝起きたら、ホークを探し出して、私を洗脳したことを謝らせてやる。
私はそれだけを、心に刻むとベッドにダイブして、そのまま寝た。
翌朝、目が覚めた私は、昨日の決心を実行に移すため、ホークを捜しに廊下に出た。
そこでバッタリとシルバーに出くわした。
「あら、昨日大活躍したチビッ子じゃない。こんな所で何してるの?もうすぐ出発よ。」
「えっ、出発って・・・。」
シルバーは目を丸くして私を見ると、呆れたように肩を竦めた。
なんですか、その非常に人を小馬鹿にした態度は!
私はシルバーを睨んだ。
「まあ、いいわ。もうすぐ王都に帰還するから、広場に行くわよ。」
「えっ、王都?」
私がクエッションマークを連発して動けないでいるうちに、シルバーに抱え上げられ、いつの間にか、広場に連れて来られた。
そこには、すでに馬に跨ったパキと、二頭の馬の手綱を持ったブランがいた。
私はシルバーからパキに荷物のように手渡されると、そのまま馬に乗せられた。
シルバーもブランから手綱を貰うと、彼も馬に跨る。
その横に、ブランが馬に跨って、並ぶと、シルバーに率いられた北門の守備隊は、王都に向け、帰還の途についた。
お陰で昨日決心した、私の”ホークに謝らせるぞプラン”は、実行に移す前に、ポシャってしまった。




