表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/99

64マラカナイト製の大砲

「うーん、うるさい。」

 私は、翌朝、広場のガヤガヤ声に、叩き起こされた。

 素早くベッドを出て、着替えると、突き当りの廊下の窓から、広場を見下ろした。

 そこには、金色に光る巨大な大砲が、いくつも並んで、鎮座していた。


 兵士は、それを荷車に乗せ、引き馬につないでいる。

 それが何十台もあって、なんとも圧巻な姿だ。


「あら、今日は後方支援なのに、早いのね。」

 私の後ろから、シルバーが声を掛けてきた。


「おはようございます。もう、出陣ですか?」

 何を思ったのか、シルバーは、私の頭を撫でまわすと、最後に、ポンポンと叩くと、何も言わずに、そのまま通路を、歩いて行ってしまった。


 今のはどういう意味、なんだろうか?

 私がぼやぁーと考えていると、広場のガヤガヤがなくなり、そこに、チャゲとシルバー、それに将軍のマナと副将軍のグリムの姿が現れた。


 彼らは、兵士に声をかけると、砦の門から一斉に、国境に向け、進軍して行った。

 しかし、広場を見下ろすと、まだあの巨大な大砲が、そのままそこに、残されていた。


 今日の戦闘では、使用しないのだろうか?

 私がそう考えていると、急に背中から声がかかった。


「ここにいたのか、黒子。」


 後を見ると、いつの間にか、そこには腹黒宰相ことホークが立っていた。

「忘れ物だ。」

 ホークは私に、リュックを放り投げた。


 私は受け取った途端、リュック入れておいたマラカナイトの事を思い出した。

 思いっきり、忘れてた。

 慌てて、リュックの中を確認するも、そこには、一袋のマラカナイトも残っていなかった。


「ままま・・・マラカナイト・・・ない。」

 私は、物凄い勢いで、目の前に立っている、ホークを睨んだ。


「そのリュックに入っていたマラカナイトなら、あの大砲とこれから放たれる砲弾に、使われているよ。おかげで、大量の武器を作ることができた。」

 ホークは、かなり満足顔だ。


 私は、逆に、大変不満顔で、ホークに喰ってかかった。

「なんで、私の許可なく、勝手にリュックを漁って、なおかつ、その中に入っていたマラカナイトを、持ち主の許可なく使ったの?」

「私の執務室に、何日も放って置かれたものだ。まさか、持ち主がいるとは、思わなかったんだ。」

 口の端をちょっとニヤつかせて、そう説明する。


 こいつ、今さらっと、すっとぼけたな。

 確信犯か!


 信じられない。


 でも、どうして、そんなことを、わざわざ私に言う必要があるのか。

 それでもって、なんで、今更、私にリュックを返したの?

 今度は、どんな裏があるっていうの?


 私はジトーとホークを見た。


 ホークは、私の背中越しに、窓枠に両手をつくと、広場を見ながら、ぼそりと耳元で呟いた。

「使わなかった砲弾の分は、正規の値段で換算して、現金で返そうか?」


 なにー、今、なんといったんだ、こいつは。

 現金で返すって、どういう意味?


「そうだな、砲弾一個は、公爵家の屋敷一個分の価値があるから、残る砲弾の数によって・・・。」


 あの砲弾一個が、屋敷一個に相当するの!

 

 なら、砲弾が放たれる状況は、どんな時・・・。


 私の頭の中が、急激に計算を始めた。

 戦況が悪いときよね。

 なら戦況が良ければ、砲弾は使われないはず。


 私は、ビシッと指をホークに、突き付けて宣言した。

「絶対、残った砲弾の分は、払いなさいよ。」

 私は、そう叫ぶと、勢いよく部屋に駆け戻って、剣を持つと、広場に向かって、階段を駆け降りていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ