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63/99

63将軍

 私の叫び声が、天に届いたのかどうか、不確かだが、その瞬間、砦の方から、勇ましい騎馬の足音が、響いてきた。


 援軍だぁー!

 将軍様が来られたぞぉー!


 あちらこちらから、本陣到着の声が、聞こえてきた。

 途端、敵陣はアッと言う間に、後退していった。


 助かった。

 死ぬかと思った。


 私が呆けていると、いつの間にか、ブランと隊長のシルバーが、傍に来てくれた。

 ブランが手を貸して、部下にパキの搬送を頼んでくれた。


 その後、ブランは、私を乗せようとしてくれたようだが、私はそれを断った。

 まだ、このくらいの距離なら、徒歩の方がよっぽど早い。


 乗馬はもう、こりごりだ。


 馬に乗ったシルバーとブランの横を、私は速歩で並んで走ると、砦に戻った。

 ちなみに、私の走りを隣で見ていた二人の目は、なぜか真ん丸になっていた。


 そんなに、呆れるようなことなのだろうか。

 密かに、私は、心の中で反論した。


 砦に着くと、そこには、マナ将軍と副将のグリムが、忙しなく動いて、兵に指示を飛ばしていた。

 シルバーとブラン、それにチャゲが、戦況報告に、将軍の所に行ったので、私はケガで担ぎ込まれたはずの、パキの様子を見に、救護所に向かった。


 テント内は、まさに戦場のようだった。


 あまりの人に、一瞬、引き返そうとしたところに、リボンが声をかけてくれた。

「黒子ちゃん、こっちよ。」

 見ると、リボンが手を振ってくれている。


 私は、人を避けながら、そっちに向かった。

「黒子ちゃん、怪我はなかった?」


「はい、大丈夫です。あのーパキ・・・。」

 私がパキの居場所を聞こうとしていると、彼女は隣のベッドを指した。


 見ると、足に添え木と包帯を巻かれたパキが、ぐっすり眠っていた。


 私が心配そうにみていたので、隣にいたリボンが容体を説明してくれた。

「大丈夫よ。命に、別状はないわ。ただ、足の骨が折れているから、くっ付くまで、絶対安静って所かしら。」


 私は、リボンの言葉に、ホッと肩の力を抜いた。

 彼女は私の様子に、肩に手を置くと、優しく言葉を掛けてくれた。

「今日は、疲れたでしょ。食事が用意されているから、早く食べに行きなさい。」


 私は、リボンの言葉に、自分がかなり空腹だったことに気がついた。

 随分気が張っていたようだ。

 私はすぐにテントを出て、砦の兵士が大勢いる、食堂に向かった。

 食堂に着くと、また誰かに手を振られた。


 近づいていくと、ブランが夕食を食べていれるところだった。

 見ると、気が利くことに、そこにはもう一人分の食事が用意されていた。

 思わず、お礼を言って、すぐに、食事に手を付けた。


 私が食事をしている横で、ブランは明日の戦闘は、午後からだと教えてくれた。

「あっ、それと黒子ちゃんは、後方支援ね。」


「後方支援? それって、なんでしょう。」

 ブランは、苦笑いして教えてくれた。

「まっ、要は直接戦いに出なくって、いいってこと。黒子ちゃん血を見て、体動かなくなってたでしょ。あれだと返って、足手まといだからって、隊長が。本心は、心配してるだけだけどね。」


 ブランの言葉に、私は涙が出そうになった。

 本当は、明日の戦いが、怖くて、怖くて、しょうがなかったのだ。

「ありがとう、ございます。」

 私は、思わず、スプーンを持ったまま、その場で涙ぐんでしまった。


 その日は、ブランと食事をした後、ベッドに直行すると、そのまま、眠ってしまった。

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