61激突
翌日の明け方に、全員がけたたましい鐘の音で、叩き起こされた。
「敵襲!」
警戒に出ていた兵が戻って来て、砦に駆け込んできた。
「迎え撃てぇー。」
チャゲが、大声を張り上げながら、部屋から駆け出して、自分の部隊を連れて、砦を飛び出していく。
「全員、砦から出て、敵を迎え撃つわよ。」
さらに、シルバーの声に、ブランとその部下たちが、馬に乗りながら、砦を飛び出していく。
「黒子さん、こっちです。」
いつの間にか、パキが馬に乗って現れたかと思ったら、そのまま馬上に引き上げられた。
気がついたら、戦闘の真っただ中に、放り出されていた。
ウソー
ヤダー
矢が、弾が飛んでくるぅーー。
ファイアーボールなんていう、魔法の塊を飛ばすな!
死ぬじゃないか!
私が恐怖のあまり、硬直して叫んでいる間、パキが必死に、魔法でシールドを張ってくれていたようだ。
その飛来した物体は、私たちの前で見えない壁にぶち当たって、地面に落ちた。
「何やってるの、チビッ子。反撃しないと、死ぬわよ。」
叫び声を聞いて、横を見ると、敵に囲まれながら、シルバーとブランが、前後になって、庇い合いながら、敵を殲滅していた。
その度に、血しぶきが周囲に舞い上がる。
うそー・・・血が・・・ちちち・・・赤い血が・・・。
戦争なんかTVでしか、見たことがないのに、そこにはリアルが存在していた。
ヤダーよぉー。
死ぬぅー。
「黒子さん。俺、もうシールド持ちません。」
パキが呻き声を上げた途端、シールドが崩れて、馬から私たちは、地面に叩き付けられた。
私は、なんとか上手く直地したが、パキは派手にこけて、足を捻ったらしく、身動き出来ないようだった。
「パキ、足を引きずってでもいいから、立ち上がれ。やられるぞ。」
ブランが戦いながら、パキに指示を出す。
しかし、パキが立ち上がる前に、敵の兵士が情け容赦なく、剣を振り上げた。
私は、慌ててパキと敵兵の間に入ると、持っていた剣を敵兵に向け、突出していた。
ズギュッ ギャァー ズシャー
変な感触がして、赤い血が、目の前に飛び散った。
私はその一瞬で、硬直して動けなくなった。
わかっていたが、体が動かない。
パキが、私の後ろから迫っていた敵兵に気がついて、何か叫んだが、全く対応できなかった。
シャキーン ガブッ ギャァー
何か、どこかで聞きなれた音がして、気がつくと、愛犬プーが、敵兵の喉に噛みついて、私を助けてくれた。
プー!!!
私の目が信じられないものを見て、涙が溢れて来た。
「プー、ありがとう。」
「何、ぼさっとしているのよ。早くシールドを張りなさいよ。」
ふと気がつくと、私の肩に、いつのまにか、ナニ一号ことバイオレットがいた。
「ナニいち・・・バイオレット、なんでここに?」
ナニ一号と言おうとして、バイオレットに睨まれ、途中で言い直した。
「いいから、シールド。」
バイオレットがしきりに急かすが、魔力がないので、当然シールドを張ることは出来ない。
「私が力を貸すから、声に出して!」
バイオレットに、言われるままシールドと呟いた。
目の前に倒れている、パキと自分を囲むようにシールドが出来上がる。
「なんで、シールドが使えるの?」
私は思わず叫んでいた。




