表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/99

60国境の砦

 呆けている私を見つけたパキが、手を引っ張って、シルバーの所に、連れて行ってくれた。

「やっと来たわね、チビッ子。遅いわよ。さあ、さっさとその馬に乗りなさい。」

 私は、我に返って、乗れと言われた馬を見た。


 そこには、きれいに黒い艶々の毛を逆立てて、鼻息荒く、前足を地面にかく、地球で言うサラブレッド様がいた。


 うま・・・ウマ・・・馬・・・。


 私の目は、大きく見開かれた。

「うまぁー!」

 馬は、私の声にビクリとして、こちらを睨みつけた。


「何よ。こんなにいい馬なのに、まさか気に入らないの?」

 シルバーは呆れたように、目をグルっと、回して見せる。


 私は、馬を見つめながら、ぼそりと言った。

「乗れません。」

「はっ?」

シルバーは、髪を搔き上げながら、もう一度私を見た。


「乗ったことがありません。」


「・・・。」

 シルバーは、信じられないものを見る目で、私を見つめた。


「乗ったことがないの!」


 私は素直に頷いた。


「一度も!」


 私は、もう一度、頷いた。


「流石、非常識娘ね。」

 シルバーが私の全身を眺めまわし、次に、ブランとパキを見た。


 すぐに決心したように、目がパキを見た。

「パキ、馬には乗れる。」


 パキは目を丸くして、頷いた。

「じゃ、その馬にチビッ子と一緒に、乗りなさい!」

 パキが固まっている。

 少しすると解凍したようで、シルバーに、詰め寄っていた。


「俺、歩兵なんですけど。」

「あなたは、今から黒子の従者よ。」

 シルバーの一言で、結局黒子の後ろにパキが座ることで、隊列が整えられ、それからすぐに出発した。


 その後、シルバーが率いる北門の軍とチャゲが率いる南門の軍が、国境近くの砦に向かった。

 距離が離れているため、かなりの時間を馬で進軍した後、やっと到着することができた。


「うっ、尻が・・・。」

 パキの手で、私はお尻を抱えながら、やっと馬から降ろしてもらった。


 二度と馬になんか絶対乗らない!

 私は、馬の顔を眺めながら、固く決意した。


 私たちが着いた少し後に、チャゲの奥さんがいる医療部隊や食料を束ねる補給部隊も、二軍に守られながら、砦の中に入ってきた。

 ふと、見ると、私と目があったリボンが、しきりにこちらに手を振っている。


 すぐ隣で馬に乗っていたシルバーと後続から砦に入って来たチャゲの両隊長は、国境の砦に入ると、すぐに国境を警戒しながらも、今後の部隊編成の確認会議に入った。


 明日には、王都から将軍とルドルフ、それに後続の部隊が到着する。


 今日は、まだ国境に敵の姿は見えなかった。


 なんとか、間に合ったようだ。


 私は、嫌々ながらも、案内された部屋で、傷むお尻をさすりながら、眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ