57感想ですか?
私は、最後まで読み終わって、本を閉じた。
読み終わった私を見て、シルバーが感想を聞いてきた。
「そうですね、すごいの一言に尽きるでしょうか?」
私の感想に目を丸くしたシルバーがさらに突っ込んで聞いてきた。
「他には、何かないの?」
「他ですか?これといって、ありませんけど。」
私は少し考えてから、もう一言付け加えた。
「でも、そうですね。あえて言うなら、人様のプライベートをここまで本に書いちゃって、問題ないの? とかは思いますけど。」
私の一言は、シルバーの予想の斜め上だったらしく、彼はガックリとしていた。
「さすが、チビッ子。気にするのが、そことはね。ちなみに、今あなたが読み取ったものは、スズ様とマナ様の複合記憶だから、問題ないわよ。」
「えっ、複合記憶って、何ですか?」
シルバーはちょっと考え込んでから、説明してくれた。
「まっ、いわゆる自分の記憶していたものをクリスタルに写して、他の人が見えるように、再現したものって言えば、わかるかしら?」
なるほど、私の世界でいう記録ビデオのクリスタル版か・・・。
もっとも、こっちの方が、直接記憶から写せるから、もっとすごいような気がするけど。
私が違うことを考えていると、シルバーは、なんでかまた違う質問をしてきた。
「ところで、私にもその内容を教えてくれない。」
「へっ?」
私はシルバーの言っている意味が分からなかった。
「内容を教えろって、どういうことでしょう?」
「私もブランも、噂は知ってるけど、真相を知らないのよ。だから教えて欲しいんだけど。」
シルバーの目が鋭く黒子を見つめていた。
「なんでですか。単にこの本を読めば、いいだけですよね?」
私は自分が持っている手元の本を見た。
いつの間にか、さっきの題名が消えていた。
不思議に思って、本を見ていると、ブランがお茶を出しながら、理由を教えてくれた。
「このクリスタルブックは、特定人物宛の一度っきりの再生ですから、あなたが呼んだ時点で、全てクリスタルから記憶は、抹消されています。」
「それって、見た所から消えていくってこと?」
ブランは頷いた。
なんて便利なもの、でも特定の人物って、なんで私なんですか?
私が色々考えて、いっぱいいっぱいになっていると、重ねてシルバーが聞いてきた。
シルバーは好奇心いっぱいの目で私を見た。
「嫌です。こんな個人的なこと、見ちゃった私が言うのはなんですが、人に言えるわけないじゃないですか。」
「個人的なことですか。」
シルバーはおかしそうに笑っていた。
その時ちょうど、砦の定時になる鐘の音が聞こえて来た。
「もうこんな時間ですか、遅くなると公爵家に怒られそうですから、ブラン、送ってやってちょうだい。」
「分かりました。」
私はシルバーに急かされ、ブランに促されて、砦を出ると、公爵家の屋敷に向かった。




