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56憐み

アンジェリーナは、かつて、自分の親友だった女の顔を凝視した。

先程、マナが叫んだ”殺すな!”の一言は、自分に向けたものだった。


そこまで、自分は親友にとって憐れな存在に成り下がってしまった。

彼女は、自分を受け止めた将軍の腕から立ち上がると、マナの目をヒタリと睨み付けた。


マナは、自分を睨む親友の痛々しい顔を見ていられず、目線を外した。

途端親友はペタンと床にお尻を付けた。


やっと正気に返った兵に、彼女は玉座の間から連れ出された。


王妃がマナたちに聞いてきた。

かのものをどうしたいのかと・・・。

マナは、淡々と議会に任すと答えた。


マナや公爵家の面々がどんな力を持っていても、玉座の間で、剣を抜けば、極刑だ。

それは覆らない。


マナたちを何も言わず、後継の儀が終わると、そのまま王宮を後にした。


三日後、議会の決定事項を侍従が知らせに来た。

アンジェリーナは、その知らせを淡々と聞いた。

そして、侍従は最後の願いごととして、かつて親友だった人間に手紙を渡してほしいと頼まれた。

侍従は、手紙を預かった。

その夜、アンジェリーナは、大好きなジュースを飲んでから病に倒れ、数時間後に亡くなった。


翌朝、侍従はマナに亡くなる前にアンジェリーナが書いた手紙を渡した。

マナは躊躇なくそれを開くと、その場で手紙を読み上げた。


「私の大切なものを奪わないで!」

マナは、溜息をついて、手紙をそのまま炎の魔法で燃やし尽くした。

侍従が、マナの行為に目を瞠る。


「戦場ではこんなことは日常茶飯事なんだがなぁ。」

マナは一言呟くと、かの人が、何を奪わないでと言ったのか? 弱かった親友の顔を思い浮かべて少し考えた。

 そしてポツリと目の前に侍従に問いかけていた。

「アンジェは、苦しんだのか?」


侍従は、首を横に振って答えた。

「眠るように、お亡くなりになりました。」

「そうか。」


その後、侍従はすぐに、公爵邸を後にした。

この話を聞いた後から、王は何を思ったのか、王宮で、母親のいなくなった後、寂しそうにしている娘を慮って、何度も王女の部屋を訪れるようになっていた。


王妃も複雑な顔で、王女を気にかけてくれたが、王ほどは積極的ではなかった。


月日がたち、王は息子に王位を譲った。

その後、いつの間にか、公爵家には、かつての王と瓜二つの人物が、公爵家に婿入りしていた。

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