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53二人の側妃

 マナは、ドクターのおかげで、母の協力を取り付けた。

 母は、あっという間に、怒り狂った将軍である父と、自分に仕えているメイド長を操って、ルドルフまで手中に収めると、何もかもあっという間に、解決してくれた。


 婚約予定だったヘンリーからは、そのまま結婚しようと言われたが、それはマナから断った。

 さすがに、お腹の中の子は、彼の子ではないので、気が咎めたのが理由だ。


 そして、不満タラタラであった王でさえ、なぜか母が動き出した後からは、何も言って来なかった。

 我が母でありながら、この人は、一体どれだけの力を持っているのだろうと、マナはある意味、底知れない恐怖を覚えた。


 その後、マナは、さほど体調を崩すこともなく、予定通り、銀髪で緑の瞳を持った、男子を出産した。


「無事、生まれたそうですわよ。」

 王の執務室に、王妃が知らせに現れた。

「そうか。」

 王は書類を握りしめて、執務室の窓から、外に目を向けた。

「行きたいですか?」

「ああ、だが嫌われたくもない。」

 王妃は、正直に話す王に、苦笑いを浮かべた。

「すまん。こんなことを言うつもりはなかった。」

 王は、王妃に謝った。

「仕方ありませんわ。私たちはもう、夫婦ではなく、同盟者ですもの。」

 確かに、王妃に魅力がないわけではないが、抱きたいとは思わなくなった。


 二人は、ただ執務室でお互い何も言わず、短い休憩を取ると、王妃は私室へ、王は執務を続けた。


 マナが公爵家の跡取りを出産した後、隣国との攻撃はなく、あっという間に5年の歳月が過ぎた。


 その間は、王も何度か、マナに、側妃になってくれるように懇願したが、そうはならず、結局、そのままの状態がズルズルと続いた。


 王はその間、一度も側妃たちの部屋も王妃の部屋も夜に訪れることがなかった為、二人の側妃は、結局子供が出来ないと理由で、彼女らは、実家の意向に従い、それぞれ王の臣下と結婚することとなった。


 アンジェリーナの元にも、侍従が訪れて、議会で決まったことを伝えた。

「王の臣下と結婚。それも相手は、ヘンリー伯爵ですって!」

 彼女は侍従に捲し立てた。

「決めたのは、誰なの?」

「私は、議会の通達をお知らせするのみですので、それ以上のことは、わかりません。」

 侍従はそう言うと、早々と伝言を伝えて、退出していった。


 ヘンリー伯爵といえば、マナの元婚約者。

 なんで私が、マナの残りものを貰わなければ、いけないの。

 さらに王は、マナにばかり夢中で、今はここに、顔すら見せに来ない。


 アンジェリーナの中に暗い嫉妬の心が芽生えた。

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