52公爵家の子だ!
マナは身に覚え、ありまくりの人物を睨みつけた。
しかし、王はマナの睨みよりも、妊娠の一言に翻弄されていた。
ドクターは、マナの月のものが来ない発言と、王の乱入に一瞬、度肝を抜かれた。
だが、腐っても戦場で、幾多の軍務医の経験が積んでいたことで、すぐに現実に引き戻された。
ドクターは、医療棚から、水色のクリスタルを取り出すと、マナに口を開けるように言う。
マナは、素直に口を開けた。
直ぐに、ドクターは、マナの口に、そのクリスタルを突っ込んだ。
「少し待っとれ!」
マナは頷くと、そのままそのクリスタルを咥え続けた。
そのうち、なぜか、真っ青だったクリスタルが、少しずつ赤くなった。
ドクターは、眉を顰めて、それをマナの口から取り出すと、次に腕を出すように言う。
マナは腕を差し出した。
ドクターは、腕から少量の血を採取すると、それを白いクリスタルが刺さっている、何かの分析器に掛けた。
しばらくすると、それも赤くなった。
ドクターは、マナの顔を見て、言い放った。
「間違いなく、妊娠とるぞ。」
マナは唖然とし、王は呆然とした。
マナが王の子を妊娠している!
「ドクター!」
マナがドクターに、ニジリ寄った。
「間違い・・・。」
「じゃ、ないぞ。三か月だ。」
ドクターが断言する声が聞こえた。
「どうしたい。」
ドクターは、真っ青な顔をして、俯いているマナに、問いかけた。
マナはドクターの言葉に、真面目に返そうと、真剣に考えた。
自分は本当に、どうしたいんだろうか?
「王の側妃には、なりたくない。」
マナは、本音を口にしていた。
マナの一言に、王は愕然とした。
「でも、この子が生まれようとしているなら、生みたい!」
「わかった。お前さんがそうしたいんなら、そうしろ。儂も協力する。」
「マナ!」
王は、ドクターとマナの会話に、思わず横槍を入れた。
「その子は、王の子だ。」
マナは、王をじろりと睨むと、置いてあった剣を、王の首筋にあてた。
するどい切っ先が、王の肌にあたり、赤い血が流れ出した。
「この子は、公爵家の子供で、王家の子ではない。」
王はマナの気迫にのまれて、ごくりと喉をならした。
ドクターは二人のやり取りを無視すると、いつの間にか貧血用の薬を用意していた。
「話は終わったか?」
マナは、剣を納めると、ドクターを振り返り、頷いた。
「これが貧血用の薬だ。妊婦でも問題なく飲める。」
マナは、ドクターの話に頷いた。
「あと、もう一つ、質問だ。この件を公爵夫人に、話していいか?」
黙っていても、すぐに母のことだ、わかるだろう。
かえって、自分が話すより、ドクターが言ってくれるなら、ありがたい。
「お願いします。」
マナは、ドクターに頭を下げていた。




