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51妊娠

 マナは秘湯で一週間ゆっくり休暇を取った後、やっと近衛騎士が常駐する王軍に出向いた。

 まだ、そこには将軍である父も、ルドルフも、婚約予定のヘンリーの姿もなかった。


 結局、和平条約が調印されたとは言え、すんなり行くまでは、油断できないので、全員が、国境の砦に詰めていた。


 マナは、将軍たちがこちらに戻れるまで、こっちで待機の状態だ。

 やれることは、そうないので、日々王都に残っている兵士の試合を組んだり、自分でも彼らと剣の稽古をして過ごしていた。


 王は、そんなマナの姿を、城の執務室から眺めて、日々を過ごしいた。

 最近は、側妃たちの部屋は愚か、正妃の部屋にも帰らず。

 ただ毎日、執務室で書類に埋もれて過ごしていた。


 自分でも、何をやっているんだと思うのだが、気力を振り絞っても、種類の山を片付けるところまでが、精一杯だった。

 そこに王妃が尋ねてきた。


 王はそれには、全く気付かず、いつものように、書類を片付けながら、執務室の窓からマナの姿を見ていた。

 その時、いきなりマナが倒れた。

 王は慌てて執務室を飛び出そうとして、王妃に制止された。

「陛下!」

 ビックリして、いつの間にか目の前に来ていた王妃を睨む。

 王妃は先程、王が見ていた窓に行って、チラリと目線をそこに移すと、もう一度王を振り向いた。


「あなたが駆けつけなくても、若い近衛兵の面々が、今医者を呼びに行っていますし、彼らの一人が、マナを抱き上げていますよ。」

「抱き上げているだと!」

 王は王妃の言葉に、目を吊り上げると、執務室を駆けだそうとして、それをまた、王妃に止められた。

「今、陛下が出て行かれれば、どうなるのか、わかっていて、行動しようとしているんですか?」

 王妃の強い眼差しを見ながら、王もその目を見返すと、きっぱりと答えた。


「これで、王の地位を失ったとしても、他国と戦争になったとしても、それでも、俺は行きたい!」

 王妃は、大きな溜息をつくと、王に道を譲った。


 王は、そのまま後を振り返らずに、駆けて行った。

「まったく、まだ成人してない息子に、王をやらせる気かしら、あのバカ!」

 王妃は王の背中に毒づいた。


 マナは自分の直属の部下に抱き上げられて、医務室に連れて行かれた。

「すまん。助かった。」

「いえ、それより、あまり無理をしないでください。俺が将軍に殺されます。」

 部下の言葉に、マナは苦笑いをした。


 彼女が部下に、ベッドに降ろして貰った所に、ドクターが駆けつけた。

「嬢ちゃん、倒れるなんて、何をやらかしたんだ?」

 マナは目を丸くして、駆け込んで来たドクターを見た。

「いや、何をっていうほどの事も、してないんだが、なんだか急に、めまいがして。」

 マナが起き上がろうとすると、ふらりと眩暈がした。

 ドクターは、マナの額に手を当てると、眉間にしわを寄せる。

「少し微熱があるようだな。薬を飲んだ方がいいかもしれん。念の為だが、嬢ちゃん、月のものは、いつ来た。」

「えっ、月のもの・・・。」

 マナは、冷や汗を垂らして、考え込んだ。

 そう言えば、ここ二か月以上、身に覚えがない。

 かなり、考え込んでから答えた。

「その・・・ないです。」

 ドクターは、その答えに、目を丸くすると、

「じゃ、妊娠するような身に覚えは、ないよな?」

 妊娠するような身に覚え!

 あり過ぎるほどある。

 しかし、なんと答えればいい。

 マナが無言でいると、そこに王が飛び込んで来た。


「マナ、妊娠しているのか?」

 そこに、叫び声と共に、身に覚えの人物が乱入してきた。

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