47敵国王よりの求愛
マナが無視すれば、すれ程、敵国の王は、彼女にしつこく求愛した。
最後は、マナが婚約しているので無理だと言えば、その相手と決闘すると言い出すしまつ。
全く何を考えているんだこいつは?
マナは、あまりのアホさかげんに、王の相手を放り投げようとした。
まさに、そこに、父である将軍と自国の王が、軍を率いて駆けつけてくれた。
残念ながら、マナから送られた伝言鳩とは、行き違いになったようだった。
マナは、砦に入って来た父に、目線で助力を願った。
本当にもう、あの敵国の王の相手は、したくない。
「めずらしいな、お前が弱音を吐くなんて。」
父はそう言いながら、マナに後ろから、敵国の王が捕まっている部屋に急ぎ向かった。
さっさと、この件を解決して、気の重くなるような、この事態を忘れたい。
マナは部屋に来ると、ノックをして、返事を待たずに、扉を開いた。
「マナ、今日はなかなか顔を見せないから、どうしたのかと思ったぞ。」
敵国の王のこの物言いに、なぜか自国の王が激怒した。
「マナは、お前の国の人間じゃないぞ。」
「ほう、誰かと思えば。なんで、ここにお前がいる?」
「ここは、私の国だ!」
二人は、睨み合いを始めた。
そこにマナの父である将軍が、二人の間にスッと立ち塞がった。
「お二人とも、お忘れのようですが、マナは私の娘で、お二人のものではありません。それに、私は、娘が望まないことを、勧めるつもりも、ありません。」
将軍は、そう言うと二人の王に微笑みかけた。
なぜか微笑みかけられた王は、二人とも背中をゾクリと震えさせた。
何か冷たいものが背中を流れる。
さすが、歴戦の勇者と言われるだけはあると、二人の王は感心した。
でも、大国の王は、無駄にあきらめが悪かった。
今度は、父である将軍を勧誘し始めた。
「なら、将軍であるあなたたち一族も我が国に来られればいい。私が好待遇を約束しよう。こんな小国の将軍より、大国の将軍の方がどれほど・・・。」
「いい加減にしろ! 自分が囚われ身だという自覚がないのか?」
敵国の王は、それにニヤリという笑みで答えた。
自国の王が腰にあった剣に手を掛けようとしたのを見ていた将軍が気づいて、そっとそれを止めると、マナを促して、三人は部屋を出た。
そこには、ルドルフが控えていた。
将軍はルドルフに頷くと、彼は音もなく、その場を去って行った。
「将軍、なぜ止める?」
「このまま、あの王を討っても、わが軍の何十倍もの軍事力を持つ、敵国を潰すことが出来ないからです。」
王は、将軍の言葉に黙り込んだ。
「なら・・・。」
「今、ルドルフに敵国の交渉相手を連れてくるように、指示しましたので、ここは、我が国が相手国に賠償を請求して、和平を結び、一刻も早く、彼らにここから帰ってもらうことが、最善です。」
王は、将軍に何か言おうとして、口を開くも、結局は、何も言えず。
ただ、黙って頷いた。




