41王宮
画面が止まったので、私は本を次のページにした。
すると、場面が中庭の訓練場から王宮舞踏会に変わった。
へぇ、自動で次のページに行くわけじゃないんだ。
なんだか逆に、それがレトロっぽくて、いいかも・・・。
私が感心していると、主人公が現れる。
「マナ様。そんな不機嫌そうな顔をしないで下さい。」
メリルが、マナのドレスを気にしながら、傍に控えている。
隣には、父のクリスと母のスズがマナを囲むように傍にいた。
「まあ、いいじゃないか、メリル。マナが舞踏会に出る気になったんだから。」
「そうね、たしかに。」
「お二人とも、マナ様は公爵家のたった一人の相続人であり後継なのですよ。わかっているのですか?」
メリルが鋭い目つきで二人を睨む。
「いや、まあ、それはもちろん。」
クリスは、たじたじとなって、妻のスズを見た。
「大丈夫よ、メリル。我が家は貴族でも恋愛結婚しか許可しないから。」
「奥様、そんな事では、なくてですね。」
メリルのげんなり顔が、さらに酷くなる。
「大丈夫さ、メリル。私が公爵家を継ぐのに必要な伴侶の条件なら、わかっている。」
「では、それはどのようなものでしょうか?」
「まずは、公爵家に婿入りできるような次男で、顔はついていればいい。それでもって、御爺様のように強い方を捜せと言われている。」
マナはどうだ、という顔でメリルを見た。
メリルと今度は何故かクリスまでが、スズを見た。
「さすがマナは、私の娘だわ。」
スズは、隣でジト目で見ていた二人をまるっと無視すると、マナを抱きしめた。
二人が親睦を深めていると、部屋の外から声がかかった。
「公爵様、そろそろお時間です。」
侍従が公爵家に舞踏会会場に案内するために現れた。
「それじゃ、メリルにルドルフ、行ってくるよ。」
クリスはそう言うと、片手で妻のスズの腰に手をやり、もう一方の手で、娘のマナの手をとった。
「「行ってらっしゃいませ。」」
ルドルフとメリルは、三人に頭を下げて、公爵家控え室から彼らが出て行くのを見送った。
三人は王宮の侍従に案内されて、舞踏会会場に入った。
きらびやかな光が周囲を照らしている。
三人が舞踏会会場に入ってしばらくすると、上段から王と王妃が静々と舞踏会会場に続く階段を降りてくる。
王は、がっしりした体格で、流れるような銀髪に、森のような深い緑色の瞳で、美麗な笑顔で貴族たちを魅了しながら、燃えるような赤毛の巨乳美女である王妃を伴なって階段を降りてきた。
全員がその場で、頭を垂れながら、礼をする。
王はそれに頷いてから、手を上げて顔を上げるのを許可した。
王と王妃は、この国の筆頭公爵家であるシュタイン公爵家に目を向けた。
公爵は、にっこり微笑むと、自分の子供のような年齢の王にあいさつする為、王の前に進み出た。




