39開戦
「はぁー、疲れた。」
ここ三か月、ルドルフに午前中に訓練され、今では北門の兵士の訓練に忙しいシルバーとブランを手伝って、午後は、彼らの代わりに軍の歳入・歳出などの決裁書作成を手伝ったりしている。
転生前は、パソコンでちゃちゃっとやっていたのが、ここでは手書きの書類だった。
しかぁーし、人間備えあれば、憂いなし。
持ってて良かったソーラー計算機のおかげで、何とか書類作成をこなしている。
ちなみに、見かけによらないが、シルバーとブランは、暗算が得意だった。
だからか、私が計算機で計算してるから大丈夫だと言ってるのに、最初の一か月は、全部の計算書を二人で確認していたようだ。
もっとも今は、私というより、計算機を信用して、最後の報告書のみ確認しているようだが・・・。
私が、そんな事を考えていると、二人が訓練場から戻ってきた。
「お疲れ様ぁ。」
「本当に疲れたわよ。でもこれで、やっとルドルフ様に、顔が立つってものよ。」
シルバーは、タオルで汗を拭きながら、部屋に入ってきた。
「本当ですね。これで嫌味を言われなくなります。」
ブランもホッとしたようだ。
なんとか三か月たって、ルドルフの訓練に、ついて来れるようになった兵士が、半分以上になったのだ。
「よかったですね。」
私がそう言った時、部屋のドアをノックして、パキが現れた。
「隊長、王宮から、緊急の書類です。」
パキが黒い筒に包まれたものをシルバーに渡した。
シルバーはいぶかしんだ顔で、それを受け取ると、執務机に座って、その筒を開くと、書類を取り出した。
ポン
小気味よい音とともに、書類が広がった。
一通り、呼んだシルバーの顔が曇る。
「最悪だわ。」
「「「どうしたんですか?」」」
三人は真っ白い顔で、銀髪を物憂げに掻き上げるシルバーを見た。
シルバーは大きく息を吐くと、ブランに書類を見せた。
ブランは、目を通すと同時に、彼も同じように顔色が悪くなる。
「噂は本当だったんですね。」
「噂?」
私はパキの顔を見た。
パキは青白い顔で呟いた。
「戦争ですか?」
二人は無言で頷いた。
「戦争!どこと?」
私は思わず大声で叫んでいた。
「隣国よ!」
「なんで、そんな大国とやるの。」
「たぶん、今だからでしょ。」
シルバーは投げやりに、言い放った。
私は理由がわからず、シルバーを見る。
「一つは、魔道院で戦争用の魔道具が完成したことと、今ならレジェンド・オブ・ルドルフがいるから。そして最大の理由は、負けても対処する事ができるから。」
「負けても対処できるって、どういうことですか?」
「あら、チビッ子は、公爵家に居候しているくせに知らないの?」
「何をです?」
シルバーはニヤリと人の悪い笑みを浮かべている。
「聞きたい?」
私は、シルバーの言葉に、素直に頷いた。




