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37影の実力者

 私はメリルが言う、彼が誰かわからず、悶々としていた。


 そんなところに、他のメイドさん達が入ってきた。

「おはようございます。メリル、メイド長ぉ。」

 私より、かなり若い茶髪のメイドさん達が、次々に体を洗うと湯船に入って来た。


「うーん、いいお湯。」

 全員がチラッと、メリルの肌に散る鬱血痕に目を移すと、赤くなりながら会話に加わってきた。


「昨日の夜は、また激しかったんですね。」

 羨ましそうに、メリルを見る。


「私なんか想像しすぎて、昨日よく眠れませんでした。」

「「「うんうん。」」」


 メリルは赤くなりながら、文句を言った。

「防音結界を張っているんだ。煩いはず、ないだろ。」

「メイド長だからですよ。逆に気になって、みんな眠れないんです。後学のためにも、今日から防音結界、止めませんか?」

 一番メイド長に近い年代のメイドが、そう言えば、全員が頷く。


「できるか、そんなこと。」

 メリルはそう言うと、鬱血痕だらけの体で湯船から立ち上がった。


「私は先に出ます。」

 そう言って、先に出ようとして、ふと私の傍を通って時、耳元で囁かれた。

「私の夫は、料理を作っている時は、かなり集中している。むやみやたらに、中に入ろうとか、覗こうとすると、問答無用で包丁なんかの危険物が飛んで来るから、勝手に障子を開けないようにしなさい!」

 そう言うと、脱衣所に行ってしまった。


 えっ、えっ、それって・・・。


「メリル、メイド長って、ルドルフ執事長の奥様なんですかぁ。」

 私の叫びに、周囲のメイドさん達が、呆れ顔で振り返った。


「気がついて、なかったの?」

 私は素直に頷いた。


 さらに、みんなに唖然とされた。


 聞いてみると、メリル、メイド長だけ、呼称なしの呼びつけで、呼ぶそだろうといわれ、そうだったけといったら、注意力が足りんと怒られた。

 それと、彼女たちの話だと、大恋愛の末に、二人は結婚していたそうだ。

 

 さらに、王宮には、彼らの子供たちが王宮の主要な任務についていて、王宮は、影で、彼らに牛耳られているそうだ。


「本当なんですか?」

 私がそう小声で聞くと、全員が公爵や王に逆らうより、ルドルフやメリルに逆らう方が危ないのは、ここの常識だと教えられた。


 そう言えば、北門の図書館で本を読んでいた時、ある年代から後には、必ず公爵家のメイド長と執事長の名前が併記されていたが、理由は、もしかして、それなの・・・。


 私はあまりのことに、浴室でボォーとし過ぎて、その朝は、のぼせそうになってしまった。

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