表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/99

33訓練終了!

 私がそう叫ぶと、ルドルフは私に殺気のこもった視線を投げた。

 うっ、死ぬほど怖いけど、怖いけど、幻のイチゴのショートが私を呼んでいる。


「幻のイチゴのショートが壊れたら、どうするんですか?」

 私も、食い意地という執念のこもった目線で、ルドルフを睨んだ。


 ルドルフは、殺気を消して少し考えると、おもむろに口を開いた。

「いいでしょう。もし、幻のイチゴのショートが崩れたら、明日はこれと同じものと、それに”幻の羊羹”も追加しましょう。」

「幻の羊羹!それは昨晩食べた羊羹以上の・・・。」

 私の期待の眼差しに、ルドルフは頷いた。


「ヨッシャー!!!」

 私はガッツポーズをして、腕を突き上げていた。


 俄然やる気が湧いてきた。

 私のその態度を見て、シルバーが隣で呟いていた。

「どんだけ食い意地張ってるのよ。」


 どんだけですと、そりゃ、今のルドルフの殺気を受け流せるくらいです。

 私の呟きを聞き取ったブランが感心していた。

「あの、殺気を流せるくらいとは、素晴らしい。」


「では、話がまとまった所で、さあどうぞ。」

 ルドルフに手招きされた。


「さあ、隊長。幻の羊羹の為にも、ぜひ一撃をお願いします。」

 私の声援に、シルバーとブランが、お互い頷き会うと斬りかかった。


 しかし気がつくと、一歩も動かない位置でルドルフが、二人をあっさり袈裟切りにしてしまった。

 彼は、その場を一ミリたりとも動いていない。


 次に私とパキが、斬りかかった。

 これも先程と同じように、返り討ちにされる。


 このままでは、幻の羊羹が、本当に幻で終わってしまう。


 私はパキに耳打ちした。

「えっ、そんなことするんですか?」

「そうよ。単調に攻撃していても、いつまでたっても、幻の羊羹が手に入らないばかりか、遠のくばかり。ここは一つ、当たって砕けろよ。」

 私の気合が入った掛け声に、パキは乗り気にならないながらも、頷いた。


 私たちは、直前に攻撃していたシルバーとブランが、交代したと同時に、パキが先制攻撃を仕掛けた、思った通り、それは、あっさりブロックされる。

 その途端、パキは私の指示通り、頭を下げて、屈みこんだ。

 ルドルフの視線が一瞬、私から逸れる。

 私は、すかさず、パキを踏みつけて跳躍すると、ルドルフに斬りかかった。

 少しばかり、ルドルフの軸足がズレたようだが、バスケットを揺らす程では、なかった。


 それが最後の一撃で、無情にも訓練場に、午前の終わりを知らせる鐘の音が響いた。


「くやしいー。幻の羊羹がぁー。」

私の無念の叫び声が、訓練場に木霊した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ