33訓練終了!
私がそう叫ぶと、ルドルフは私に殺気のこもった視線を投げた。
うっ、死ぬほど怖いけど、怖いけど、幻のイチゴのショートが私を呼んでいる。
「幻のイチゴのショートが壊れたら、どうするんですか?」
私も、食い意地という執念のこもった目線で、ルドルフを睨んだ。
ルドルフは、殺気を消して少し考えると、おもむろに口を開いた。
「いいでしょう。もし、幻のイチゴのショートが崩れたら、明日はこれと同じものと、それに”幻の羊羹”も追加しましょう。」
「幻の羊羹!それは昨晩食べた羊羹以上の・・・。」
私の期待の眼差しに、ルドルフは頷いた。
「ヨッシャー!!!」
私はガッツポーズをして、腕を突き上げていた。
俄然やる気が湧いてきた。
私のその態度を見て、シルバーが隣で呟いていた。
「どんだけ食い意地張ってるのよ。」
どんだけですと、そりゃ、今のルドルフの殺気を受け流せるくらいです。
私の呟きを聞き取ったブランが感心していた。
「あの、殺気を流せるくらいとは、素晴らしい。」
「では、話がまとまった所で、さあどうぞ。」
ルドルフに手招きされた。
「さあ、隊長。幻の羊羹の為にも、ぜひ一撃をお願いします。」
私の声援に、シルバーとブランが、お互い頷き会うと斬りかかった。
しかし気がつくと、一歩も動かない位置でルドルフが、二人をあっさり袈裟切りにしてしまった。
彼は、その場を一ミリたりとも動いていない。
次に私とパキが、斬りかかった。
これも先程と同じように、返り討ちにされる。
このままでは、幻の羊羹が、本当に幻で終わってしまう。
私はパキに耳打ちした。
「えっ、そんなことするんですか?」
「そうよ。単調に攻撃していても、いつまでたっても、幻の羊羹が手に入らないばかりか、遠のくばかり。ここは一つ、当たって砕けろよ。」
私の気合が入った掛け声に、パキは乗り気にならないながらも、頷いた。
私たちは、直前に攻撃していたシルバーとブランが、交代したと同時に、パキが先制攻撃を仕掛けた、思った通り、それは、あっさりブロックされる。
その途端、パキは私の指示通り、頭を下げて、屈みこんだ。
ルドルフの視線が一瞬、私から逸れる。
私は、すかさず、パキを踏みつけて跳躍すると、ルドルフに斬りかかった。
少しばかり、ルドルフの軸足がズレたようだが、バスケットを揺らす程では、なかった。
それが最後の一撃で、無情にも訓練場に、午前の終わりを知らせる鐘の音が響いた。
「くやしいー。幻の羊羹がぁー。」
私の無念の叫び声が、訓練場に木霊した。




