28.マナとグリム
「絶対許さん。」
ホークは意地悪く、グリムの言葉に突っ込んだ。
「私としては、隣国の王をお義父さんと呼んでも問題ありませんよ。顔も性格も、さらに国力、政治力、すべてがあちらの方が、上ですから。」
グリムに抱きしめられている、マナをホークは見た。
マナは苦笑いをしながら、そんなことを言う、ホークを見つめた。
「お前の言うことは、もっともだが、他に手はないのか? それに私も、昔と違って若くはない。そうそう、子供も作れん。」
「そこは、問題ありませんよ。かの王は、あなたにベタ惚れですから、それこそ、そこは問題にすら、ならないでしょう。もう世継ぎもいるようですし、閨での・・・。」
「許さんぞ、そんなこと!」
「グリム!」
グリムは、さらにマナを抱きしめて、立ち上がった。
「お前をあいつに渡すくらいなら、お前を連れて、俺はこの国を出る。」
ホークは、魔法を発動して、グリムを拘束した。
「魔法を止めろ、ホーク。たとえ息子でも、俺からマナを取り上げる奴は、容赦せん。」
ホークとグリムは、宰相室で睨みあった。
マナがグリムに拘束されていた体を、肘でグリムの鳩尾を撃ち、腕を外すと反転して、彼を逆に押さえつけた。
「ホーク、魔法を止めろ!」
ホークは、魔法を止めた。
鮮やかに描かれていた模様が消える。
「二人とも、もう少し落ち着け!」
ホークはブスッとして、そっぽを向く。
グリムは、マナに技を決められながらも、まだもがいていた。
「ホークもいい加減、父親を挑発するな!」
「別にそんな気は、まったくありません。」
マナは溜息をついて、自分の意見を言った。
「私は、向こうの王と結婚する気も、愛人になるきもないよ、グリム。」
グリムの動きが止まったので、マナは技を解いた。
「グリムも座れ。」
マナがソファーに腰かけると、グリムもその隣に座る。
「それに今回、もし私が向こうの王と結婚して、戦争を回避しても、向こうの王が代替わりするまでしか、もたん。それでは、何の解決にもならないのは、わかっているんだろう。」
「ええ。」
ホークは、あっさり認めた。
「なら、さっきは、なんで、あんな言い方をしたんだ?」
グリムは、ムッとして、ホークに怒鳴った。
「一番、簡単な解決策だからです。」
「なっ、親に向かって、なんてことを言うんだ。」
「すべてを俺と異母兄に押し付け、自分だけ新婚旅行をしている人に、何か言われるのは、心外です。」
「別にそんなことは、していない。」
グリムは、赤い顔で言いよどむ。
「その辺で、本題に戻ろう、ホーク。文句は全て、私が聞く。お前の見解を話せ。」
「俺の見解は、隣国との開戦です。」
「戦争する気か?」
マナの問いかけに、ホークは黙って頷いた。




