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24.絶品ケーキ

 シルバーは、老執事のルドルフと彼の副官であるブラン、それに私を隊長室に連れて行った。

「これは、ご丁寧に!」

 ルドルフはそう言うと、テーブルにバスケットを置いた。

「ブラン。」

 シルバーの呼びかけに、彼は隣の小部屋に消えた。

 ルドルフは、棚から小皿を出すと、それにバスケットの中からケーキを取り出す。


 ちょうどケーキを三人分取り出した所に、ブランがお茶を持って、隣の部屋から現れた。

「どうぞ。」

 ブランは四人分のお茶をテーブルに出した。

 ルドルフがソファーに座ると、シルバーとブランも腰を下ろした。

 私は、どうしていいかわからず、オロオロしていると、何故かルドルフから声がかかった。

「お嫌いですか?」

 いやぁー、ケーキは好きなんだけど、何と言いますか、今のこの部屋の雰囲気がですね。

 私が突っ立ていると、ケーキと紅茶をルドルフから勧められた。

 甘ーい匂いが、食欲をそそる。


 私は結局、ケーキの誘惑に負け、ソファーに座った。

「いただきます。」

 フォークを持つと、生クリームたっぷりの絶品ケーキを口に入れた。

「「う・・・うまい。」」

 何故かシルバーと私は、ハモっていた。


 ルドルフは、紅茶を黙って、味わった後、一言呟いた。

「この紅茶もなかなかですね。お名前は?」

 ブランは、ケーキを食べる手を止めて、ルドルフを見た。

「ブランといいます。」

「そうですか。良い味ですね。」

 なぜかブランは、ルドルフの褒め言葉を聞いて、悪寒がした。

 なにか悪魔に魅入られた時のような感じがするのは、気のせいだろうか?

「ブラン君は、独身ですか?」

「ええ、恋人も身内もいない天涯孤独少年ですよ。」

 なぜかシルバーが喜々として、ブランが口を開く前に、答えていた。


「隊長?」

 ブランが、なんで俺の代わりに答えるんですかと、シルバーに問いただそうとした時、ルドルフが口を開いた。

「北門の砦で精鋭を三十人、それとブラン君に黒井様、それにシルバー殿でいかがでしょうか?」

「分かりました。明日からで、よろしいでしょうか?」

「はい、今日はご挨拶に来ただけですから、問題ありません。それと黒井様の今日の送りをどなたかにお願いします。私、これから、少々野暮用がありまして、王宮に出向きませんといけませんので。」

「大丈夫ですよ。ブランに遅らせますので、ご心配なく。」

「助かります。」

 ルドルフは、そう言うとソファーから立ち上がった。


 そして、ドアから出て行こうとして、ふと立ち止まる。

「私としたことが、お嬢様からの伝言を忘れていました。”今度は腹をくくれ、坊や!”とのことです。では、私はこれにて。」

 ルドルフはそう言うと、隊長室から、音もなく出て行った。


「隊長? 大丈夫ですか?」

 なぜか、がっくり肩を落としているシルバーに、ブランは声をかけた。

「まあ・・・なんとか。」

 そう言うとシルバーは残っていた紅茶とケーキを平らげた。

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