表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/99

17.異世界の絶品チーズケーキ

「確かに、王都守備隊なら腕さえあれば、何もいらないな。」

 私が慌てて、声がした方を振り返ると、部屋の中から、銀髪で緑色の瞳をした渋い美形に付き添われた、女性が現れた。

「「マナ!」」

 今まで、私と話していた公爵夫人であるスズと、その伴侶である公爵のクリスが、声を揃えて、女性の名前を呼んだ。

 マナと呼ばれた女性は、王宮では見かけない男性用の服を着ていて、なぜか腰には剣を下げていた。

「お母様。」

 スズは自分より,だいぶ背の高い娘を、しっかり抱きしめた。

「本当に、いつも,いきなり現れるんだから。それでどうだったの?」

 いったい何の話をしているんだろうかと思いながら、ふと隣を見ると、公爵のクリスとマナに付き添って現れた渋い美形が、二人の女性の隣で、睨みあっていた。

「なんでお前が、ここにいるんだ?王宮に帰れ。」

 公爵のクリスが、ぼそりと呟くと、負けじと渋い美形が言い返す。

「マナの隣が私の居場所です。ちなみに代替わりして、もう王ではないので、王宮に帰る必要もありません。」

 へっ、今、なんか王とか言わなかったか、この人。

 そう言えば、この渋めの美形さん、なんか顔がホークにそっくりなんだけど。

 確か前に、ホークは王族の血を引くとかなんとか言っていたような・・・。

 いや、まさか、・・・・・・。

 私は恐る恐る、もう一度、渋い美形の顔を見た。

 私がそう思って見ていると、今まで空気のように、傍に立っていただけの老執事から、いきなり重量級のオーラが放たれた。

 

 全員がゾクリとして、慌てて、背筋を正す。

 

 老執事は、なんでもない顔で、紅茶を入れて、二人の前に、差し出した。

「どうぞ、クリス様。それにグリム様。」

 老執事の無言の紅茶攻撃に、二人はビクリと身震いすると、クリスはスズの隣に、グリムも、マナが座る席に、慌ててついた。

 

 なんだ今の無言の圧力は!

 私も席に座りながら、こっそりと老執事を見るが、今は何も感じられない。

 でもたしかに、さっきは、身震いするほどの、圧力めいたものを、感じたんだけど。

 私がそう思っていると、感動の再会をしていて抱き合っていた二人に、老執事が声をかけた。


「奥様、お嬢様。お茶が冷めますよ。」

 二人は老執事の声に、素直に席についた。

 老執事の、”揉め事は、お茶を飲んだ後にしろ”という無言の圧力に、男性陣は黙って、紅茶に口をつけている。


「ところで、そちらのお嬢さんは、誰なんですか、お母様?」

 マナからの当然の質問に、母親であるスズが説明した。

「あなたのお爺様である初代次郎様と同郷の方で、黒子さんというの。」

 スズは嬉しそうに、娘に話す。

「そうなんですか?ならば、剣の腕も素晴らしいでしょうね。」

 マナから期待の眼差しで見られ、非常に居心地が悪い。

 いくらなんでも、戦国武将と比べてほしくない。

 私はりっぱな平和な国、日本で育った、日本人なので、剣道のケの字も齧ったことはない。

 きっぱり言おう、剣はダメダメだ。

 私がかなり焦っていると、老執事がさりげなく、全員にケーキを勧めた。


「さあ、どうぞ。こちらのチーズケーキも皆様、食べて下さい。それとお嬢様。くれぐれも実技は、お茶の後に、お願いします。」

「もちろんよ。ルドルフのチーズケーキを食べた後に、そちらのお嬢さんの腕前を、見せていただくわ。」

 老執事に、マナはそう言うと、居住まいを正して、フォークを持つと、チーズケーキを食べ始めた。

 私はマナの一言にかなり焦ったが、みんなが黙々とチーズケーキを食べるので、フォークを持つと同じように、食べて見た。

「う・・・うまい。」

 何これ。


 口の中に入れると、それがほんのりあまーく蕩けて、本当に絶品だった。

 現代日本でも、食べたことがないような絶品チーズケーキに、私は言葉もなかった。


 本当に、この老執事さん、何者なの?


 異世界と馬鹿にしてたけど、こんなのが毎回食べられるのなら、落っこちて良かったかもと、思わず感じるほどの味だった。


 老執事さんが作る異世界チーズケーキ恐るべし!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ