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逢魔が辻
《逢魔が辻》
里山染めて 茜空
柔い西陽に 散る紅葉
往く初雁の 残す聲
われ唯独り 影を追う
夕くれないに 佇むは
愛し面影 求めおり
そは過ちとは 識りながら
巡り合わせを 待ち侘びて
巡り逢わせと 願いたて
忘れじかたく ふみゆけば
村の外れは 杜の端
交わる路に 陽は落ちて
逢魔が辻は 暮れ泥む
往き別れては 想い遺し
恋心ごと 幸分かち
置き忘らるる 我が身にも
見ゆるその影 想い人
追うべからずや 過ぎし影
彼の名呼びなそ 面無きに
逢魔が辻の 往き違い
たとえ鬼こそ 出づるとも
君惑うこと あらましを
問うべからずや 愛し名を
啜り泣く声 いと惜しく
逢魔が辻に 往き逢いて
百鬼夜行に 見えても
君惑うこと あらましを
日のあるうちに 童子らよ
早よぉお家に 帰りゃんせ