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黒の森

鬱蒼とした木々に覆われ、見上げた空は高いのに、どこか息苦しく感じた。


耳を澄ませてみる。

幸い背後から足音は聞こえないので、まだ追っ手は迫ってないみたいだ。


ブーツから地図を取り出し、現在地と補給地点を確認する。

レオンから渡されたこの地図によると、印のある場所に救援物資があるそうだ。


何の力もない私だったら、整備された登山道でも歩くのは難しい。

しかし、今の私にはギフトがある。


少しだけ体に身体強化をかけ、ズンズンと進む。


「これ?」


一際大きな木の根元に赤い花が咲いていた。

私が触ると、サラサラと砂のように散る花。


意を決し、土を掘ると箱が出てきた。

その中には顔の半分ほどのポシェットと紙が入っている。


中を確認すると、液体の入った小瓶が3本と干し肉、そして皮袋。

紙を見ると、メモ書きのようだ。


皮袋は飲み水

小瓶は魔力回復用のポーション

恐らく聖力にも有用


端的に書かれたメモも、読んだ側から砂になって消えた。

どうやら赤い花と同様の物らしい。


「ご丁寧だね」


証拠隠滅をも織り込み済みの配置に笑ってしまう。


ポシェットを邪魔にならないよう肩にかけ、先を進む。

魔物が出るらしいので、背後のみならず全方位警戒しなくてはならない。


レオンを信じても良いものか…。

小瓶を見つめ思案する。

正直、感じたことのない疲労感が体を襲っている。

恐らく、聖力を今までで一番使っているのが原因だろう。


覚悟を決め、小瓶を一気に煽った。


「まっず!」


苦い!酸っぱい!渋い!

貴重な飲み水とわかってても、水を飲み口直しをした。

初めての味に涙目になる。


味に気を取られているうちに、気がつけば体の疲労感が徐々に引いていく。

これなら休憩せずに先に進めそうだ。


アルベルトが手を緩めるはずがない。

ここから先は、足を止めずに行動するべきだ。


私は腕にだけ身体強化をかけ、石を空へと投げ飛ばした。

「【想像】」

石から見える範囲の景色が脳裏に浮かぶ。


「ふふふ。FPSで使ってたキャラクターみたい」


森の中は木が邪魔で見えないが、遠くなら何とか見えそうだ。

しかし見渡す限り木々が広がっていた。

改めて地図を確認する。


「後ろにお城が見えてたから、正面を真っ直ぐ進んだところにあるはずだけど…」


魔族の国らしきものは見えなかった。

地図には“身体強化を使って1日程度”とある。


ガサッ


物音に驚き辺りを警戒する。


「なんだ…鹿か…」


鹿は私に気付き、奥へ逃げて行った。

まだ魔物の姿は確認できない。

それでも野生の動物が辺りを彷徨き、鳥の羽ばたきが木々を揺らす。


“黒い森”に入って1時間経ったのか、30分も経ってないのか。

私は完全に時間感覚を失っていた。

木に邪魔をされ太陽の傾きも見ることができない。

地図を広げ次の補給地点を確認する。


「目印は大きな岩、まだ見たことない…よね?」


迷わないように【想像】でレーザーを使い、おおよそ真っ直ぐ進んでいるはずだ。

それでも必ず誤差が生じる。


『リンちゃんは凄いから大丈夫!』


不安になるたび、マリーが励ます声を思い出した。

初めての原生林。


背後から迫る王国の兵士の存在に、気づく余裕は無かったーー

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