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ギフト

昼下がり、風が心地いい。

世話をする人が来なくなって、食事が運ばれる時間以外はとても静かだ。


私は目を閉じ集中する。





『いいですかリン様。

ギフトを使用する際はここに意識を集中させてください』


そう言いマークスは自身の胸の下あたり、鳩尾部分を撫でた。

つられて私も自分の鳩尾を触る。


『ここから力を使う方へ水を流し込むイメージです』


マークスは石を手で握り、そして開く。

すると石は小さな鳥になり窓から飛んでいった。


『マークスさんも【想像】のギフト持ちなんですか!?』


『いえ、私は【変化】のギフトです。

先ほどは石を鳥に変化させました』


私の頭はハテナでいっぱいだった。

そんな私の顔を見て微笑みため息を吐くマークス。


『私のギフトは有用ではありません。

必ず媒介が必要になりますし、

あの鳥も数分したら石に戻ります』


『媒介?』


『ええ。今回は石ですね。

私は無から何かを作ることはできません』


『なるほど…。

にしてもマークスさんもギフト持ちとは』


『時々私のように聖女ではない人間も授かります。

が…やはり、聖女のギフトには劣りますね』


『はーい!皆様、お茶が入りましたよー』





「ふふふ」


思わず笑ってしまった。


庭から拾い集めた石や木の山から、長細い石を取り出した。

握りしめ、水を流し込むように力を込める。


手を開くと、そこには薬莢があった。


それを手に持つスナイパーライフルに装填し窓から外に銃口を向ける。

スコープを覗き、木の葉を狙う。


心を静かに保つよう反復訓練をしているが、アルベルトの笑顔がチラつき私の集中を妨げる。


タンッ――


軽い発砲音を響かせ、発射された弾丸は木に命中した。

私は結果を確認し落胆した。


「ゲームとは違ってエイムを合わせるのは中々骨が折れるね」


あれから数種類の銃と、実弾を作ることに成功した。

銃につけるアタッチメントも作れる数を増やしている。


「スコープは問題なさそう。

サイレンサーも作れたら嬉しいけど…」


コンコン


室内に扉を叩く音が鳴り響いた。

この時間に訪れる人は、もう居ない。


となれば…。


私は扉を開き、ノックをした使用人に視線を送る。

女の使用人は不服そうな態度を隠さず要件を言った。


「国王陛下より謁見の間に来るよう伝言を賜りました。

急ぎ準備して来てください」


「……」


「ッたく!こんな辛気臭い奴と話なんかしたくないのに」


ただでさえ不機嫌な女の使用人は、私の態度に悪態をつきながら去って行った。


表面の窓から使用人が完全に居なくなったのを確認し、準備に取り掛かる。

このタイミングで呼ばれると言うことは、もうタイムリミットと言うこと。


レオンから貰った騎士団の軽装を着込み、その上にドレスを着た。

サイズが合ってない上にダボダボな見た目、足元はブーツを着用している。


「外見について何か言われたことはないけど…」


心配になるが、恐らくもうこの部屋に戻れないと思った方がいいだろう。

国王から天然石のブレスレットを、ある分だけ腕に装着した。


レオンから貰った地図をブーツの内側に挟み込み、走っても落ちないよう固定する。


忘れ物がないか確認し準備を終えた私は部屋を見渡した。

二人と共に過ごしたのは一ヶ月以上前のことなのに、まるで昨日のことのようだ。


「行ってきます」


頭を下げ感謝と旅立ちの挨拶をする。

踵を返す私の背に二人の声が聞こえた気がした。


「「行ってらっしゃい」」

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