第十四話 きさらぎ駅のコインロッカーベイビー 終
インターネットの地域版ニュースのみならず、全国区のテレビでも報じられたのは、新たな、しかし見慣れた悲劇。
ここ数日メディアを騒がせていた、DV被害者の保護シェルターと私鉄が、爆発物を使って襲撃されたという、とんでもない事件。
その、悲惨な続報。
情報が一部伏せられていたが、シェルターから行方不明になっていた被害女性が、凄惨な有り様の遺体で発見されたこと、一緒にいるはずの乳幼児の行方が分からないことから、警察は公開捜査に踏み切った。容疑者であり、DV加害者である男が全国指名手配され、顔と名前がメディアに公表された。
昼のワイドショー、ネットのまとめ記事や動画は、特集を組んで、なんだかお祭りみたいな大騒ぎをしているが、行方不明の二人は、もう永遠に見つかることはない。もしかしたら、男の方の死体は出るかもしれないが。
とはいえ、今は最重要事件のように騒ぎ立てているマスコミも、すぐに次のとんでもないニュースを見つけて矛先を変えるだろう。
「ごちそうさまでしたー!」
「ごちそうさまでした!!」
「おそまつさまでした」
いつもの朝食を終え、浮草はランドセルを背負う。斜にかけたスマホポーチもいつもどおり。今は、ディメトロドンのぬいぐるみが揺れている。
幸弘から嬉しそうにお弁当を受け取った薔薇の通学かばんには、一番出来の良いサカバンバスピスのぬいぐるみがさがっていて、浮草をあの顔で見ている。今は、みどりは様にプレゼントする用のアンドリューサルクスを制作中だ。
薔薇と並んで家を出る。ちょっとした山である我が家をくだり、今年度から浮草と薔薇は違う方向へ歩き出す。浮草は小学校。中学を無事に卒業した薔薇は、無事に入学した新市街の高校へバスで通学する。アルバイトも始めたので、毎日帰りは遅い。ちょっとばかり、寂しい。
「じゃ、浮草もいってらっしゃい」
「うん、薔薇ちゃんも気をつけて、いってらっしゃい!」
互いに手を振り合って別れた。
いつもの平凡で、だからこそ大切な日常が今日も始ま
「浮草くん、朝からすみません」
始まんなかった。
妙に印象の薄い顔立ちの、作業着姿のおっさんが、角曲がったらいた。
「管理人さん、こっち来れんの?! てか、おはよう」
「あ、失礼、おはようございますぅ。まあね、ちょっとぐらいなら問題なしです。それで、こちらをお預かりしたので、渡しに来ましたよぉ」
差し出されたのは、輝く萌黄色のおくるみ。天翠羽神が織り上げし、“子どもを守る”ためならば、あらゆる理をねじ曲げる強大な神具。
「みどりは様も交えて話し合いましてね。浮草くんにあげようと決まりましたので。どうぞどうぞ」
「えええ……」
浮草の異常な日常は、これからも続く。
きさらぎ駅のコインロッカーベイビー編 終わり
きさらぎ駅のコインロッカーベイビー、終幕でございます
ですが、根本的な部分は全く解決されていませんね
魅乃島はなんで、あんなふうになってしまったのか?
爆発物を用いた犯罪として処理できるものなの?
みどりは様はアンドリューサルクスのぬいぐるみを喜んでくれるのか?
残された謎は、そして諸悪の根元は、今後少しずつ明らかになっていく……はず!
少し間が空くかと思いますが、まだ物語は続きます
よろしくお願いいたします
ここまでお読みいただき、ありがとうございました
最後に
きさらぎ駅、時空のおっさん、猿夢、やみ駅などの魅力的な怪異を産み出し、育んだインターネットのすべての人に感謝いたします
皆様のお陰で、母子は救われたのですから




