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第6話、だるかった、この結果には不満足、1

作者からのお断り。

構想は定まっていますが、執筆速度が激遅ゆえ、完結まで相当時間が掛かります。

興味のある方は作品をフォローして、気長にお待ちください。<(_ _)>


「う~ん」


 ふかふかのベッドからゆっくりと起き上がり、大きく伸びをする。

 試験当日の朝だというのに、とても身体はだるかった。


 昨日、早く終わらせようと急いだあまり、魔力を使いすぎた影響が残っているようである。


 身体の周りをゆっくりと飛び回っている精霊たちも、心なしか、元気がないように見えた。


「精霊さん、おはよう。今日は頑張ろうね!」


 いつものように掌で精霊たちが姿を消した後、壁にある時計に目をやる。時刻は午前七時半であった。


 ベッドを出て、テーブルに置いてある入学試験の案内書を手に取り、ざっと目を通す。開始時間は午前十時頃、場所は王立学園、服装は自由。


 形式的な受験であるため簡略化されているのか、この薄っぺらな一枚の紙にはこの三点しか記されておらず、私にはこの文面から試験の内容を読み解くことはできなかった。


「どうしたものか……」


 少し悩んだ後、髪を丁寧にとかし、パジャマを脱ぐ。そして、タンスを開け、試験に着ていく洋服を選び始める。


「これにしよう」


 動きやすいように丈の短いシンプルなデザインのワンピースに決めた。下着が見えないようにスパッツを履き、服を着てから、くるっと回り鏡を見る。


「よし、決まってる」


 身なりを整えて、カーテンを引いて窓を開ける。すると、さわやかな風が室内に流れ込み、ふわっと前髪がなびいた。汗をかいて寒くなると困る。そう考え、対策としてコートを一枚持って行くことにした。


 準備を終え、時計に目をやったところ、時刻は八時十分。緊張していたのか、興奮していたのか分からない。結果として、早く起きすぎてしまったようだ。


 王立学園は徒歩で屋敷から片道三時間の道のりである。しかし、今回は執事が手配してくれた馬車で向かうことになっていた。およそ一時間ほどで到着するため、まだまだ時間に余裕がある。


 窓枠に肘を預けつつ、鳥のさえずりを聞き、朝の風景をぼんやり眺める。そうして出発の時を待っていると、やがてノックする音が聞こえ、呼びかけられた。


「お嬢様、そろそろお時間でございます」

「はい、かしこまりました」


 返事をしてから部屋の窓を閉め、コートを手に持ち、つばの広い帽子を被る。


「では、参りましょう」


 ドアを開け、声をかけたところ、私を見た執事の視線が左腕に向かう。


「お嬢様、お持ちいたします」


 コートを手渡し、礼を述べる。


「ありがとうございます」


 そして、執事の後ろについて、屋敷の門まで一緒に行き、用意された馬車に乗り込む。


「お気をつけて行ってらっしゃいませ」


 席に着くと、執事はきれいにたたまれたコートを前の席に置き、そう言った後、静かに馬車のドアを閉めた。


「王立学園まではおよそ一時間ほどです。どうぞごゆっくりとお過ごしください」


 御者がそう告げ、馬車はゆっくりと動き出す。大通りへと曲がる際、屋敷の目を向ける。執事は門の前に立ったまま、深々と頭を下げて見送っていた。


 馬車は何事もなく快調に走り続ける。しばらくして区と区を隔てる内壁にある門が見えてきた。門の両側には警備室が設けられ、厳重に警戒している様子が見て取れる。


「止まれ!」


 長い槍で通り道をふさぐようにした門番が力強く叫び、馬車は静かに停車した。


「身分証明書、または通行許可証を拝見いたします」

「ご苦労さまです」


 馬車の窓を開け、王立図書館の入館許可証を提示する。受け取って確認した門番は、それを丁寧に両手で返し、深々と頭を下げた。


「失礼いたしました。どうぞお通りください」


 その声で馬車はゆっくり動き出す。私は返事に応えるため慌てて軽く会釈した。


 この先は中央行政区と呼ばれる地区である。六つの特区に囲まれたこの場所には、国王を始めとする国の要人が邸宅を構えており、他にも多くの貴族が暮らしていた。そのため、入区が厳しく制限され、区内も鉄壁の警備態勢が敷かれている。


 領主である父親がここに住居を構えていない理由は……、私は知らない。


 馬車が門をくぐると、左側の遠くに大きな三つの建物が目に留まった。左端が王立研究所、その隣が王立学園、そして一番右が王立図書館である。


 進路を北西に変えた馬車は、石畳を軽快に走り続ける。そして、しばらくして王立学園に到着した。


「あれ……」


 正門を馬車がくぐり抜けると、グラウンドでは魔法を放ったり、武器を振り回している者たちの姿が目に留まる。屋敷の時計が狂っていたのかと思いきや、校舎に設置されている時計は九時四十分を指していた。


 早めに到着した者たちが試験を受けているのか、あるいは単に練習をしているだけなのか、どちらか分からないが、時間を見てひとまず安心する。


 その脇を通り抜けた馬車は、直後にグラウンドの一角に設けられた臨時の待機所に静かに止まった。


「ありがとうございました」


 御者に礼を述べ、降り立つ。その場所には他の馬車は見当たらない。グラウンドにいた人たちは、いったいどうやってここまで来たのかと首を傾げてしまう。


 とりあえず受験の手続きをするため、校舎へ足を運ぶ。すると、入ってすぐの玄関内に受付が設けられていた。

ご拝読ありがとうございます。

視力が悪く文字を拡大して執筆しているため、改行が多く読みにくいかもしれません。

誤字脱字には気をつけておりますが、お気づきの点がありましたら連絡いただけると幸いです。


主人公の前日譚もあります。

https://ncode.syosetu.com/n3734jx/


カクヨムでも同一名義で連載しております。

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