ご都合主義正当化シリーズ~『主人公の取り巻きになる奴隷がのきなみ美形なのはなぜなのか?』編~
クッフッフ。私の商売方法が知りたいと? 変わったお方ですねぇ。
この私が奴隷商だということをお分かりで?
──ああ、お分かりでしたか。これは失敬。
ということは、それでもなお、あなたは私に接触してきたのですね……嫌いではありませんよ。あなたのような勇気を持ったお方は。クッフッフ。
……いいでしょう。あなたの好奇心と勇気に免じて、少しばかり私の商売方法を教えて差し上げましょう。特別ですよ?
では、改めて自己紹介をば。
私の名はジャス。奴隷商会の会長をやっております。三十年程ね。
はじめに、奴隷商会というのは決して実入りはよくありません。私も若いときは苦労しましたよ。
奴隷の確保やお得意様のニーズの調査、商談など仕事はたくさんありますから。ただ人を捕まえて売る仕事ではありませんよ。それだったら年端のない赤子でもできます。
──ああ、赤子といっても「竜人族」の子供です。彼らは怪力で知られていますから、力ずくで人を捕まえることができます。
まぁ、だからその分高く売れるのですけれど。
……おお、話が脱線しました。申し訳ありません。
確か私の商売についてでしたね。
話を戻して……先ほども言いましたが、奴隷商は利益を出すが難しい。簡単なことではありません。
では、なぜ私が奴隷商会を成功させることができたのか。
単刀直入に言いましょう。それは転生者、転移者のおかげなのです。
彼らは顔のいい奴隷を見れば金に糸目をつけずに買います。いいカモなのですよ。
……ん? 「転生者、転移者はどんな奴隷を買うのか?」ですか?
そうですね……最近の売れ筋は性奴隷ですかね。最近は女性経験のない転移者が多いですから。
値段の十倍……いや、二十倍を吹っかけても買いますよ。彼らは金を呆れるほど持っていることが多いですから。
基本的に、彼らは商談の時に私たちの出した金額を値切ろうとします。本来の相場を知らずに、です。
ですから、私たちは転生者、転生者に通常の値段の三十倍を提示することにしています。
その上で彼らに値切らせ、気持ちよくさせたところを煽てて買わせるのです。
……ちなみに、その上で欠かせないのは「奴隷を商談に同席させること」です。
こうすることによって転生者、転移者は奴隷に夢中になり、無意識に商談を早く切り上げようとするのです。
奴隷の顔が良ければよいほど効果がありますね。
……あっ、一つ言い忘れていました。この商法は「正義感の強い転生者、転移者」には絶対に使わないでください。
このタイプは力ずくで奴隷を強奪する可能性があります。大抵力が強い彼らですから暴れられたらひとたまりもありません。最近紹介を立ち上げた青二才がこの注意を怠り商会が壊滅させられました。
まぁ、そんなことをする商会はド三流ですね。きっと奴隷もずさんな扱い方をしているのでしょう。
商品は大事にする。商人の鉄則でしょうに。
……あれ? もしかして落ち込みましたか? いかにも「その転生者、転移者には奴隷が売れないのか」という顔をしていますね。クッフッフ。
──実はあるのですよ。正義感の強いタイプの転生者、転移者にも奴隷を買わせる方法が。
はいはい、そんなに焦らないでください。ちゃんとお教えしますから。
その方法とは「公開オークション」です。我々奴隷商会が行う一大イベントですね。
もちろん、テントの設営費用や宣伝費などで出費が大きいですから転生者、転移者が現れた時にしか行いません。しかし、実入りはいいです。
我々が行う公開オークションの手順はこうです。
まずは顔のいい奴隷を用意します。これは転生者、転移者に奴隷を買わせることにおいて重要です。
次に、何人か「サクラ」をオークションに忍び込ませます。
最後にそれ以外の珍しい奴隷を顔のいい奴隷の前にオークションにかければ準備は終わりです。
これで何が起こるかといいますと転生者、転移者は「最後に紹介される奴隷が一番いい奴隷」と勘違いするわけですね。
特にエルフや獣人の奴隷なんかを出すと勘違いしやすくなりますよ。メモに取ることをおすすめします。
そして、最後の顔の良い奴隷が悲しそうな哀愁の漂わせる顔をしてくれれば正義感の強い転生者、転移者でも奴隷を買わせることができるのです。サクラを使って値段を吊り上げれば転生者、転移者は必死でお金を出します。
彼らは女性の涙のような良心が痛むものに弱いですから。顔が良かったならなおさらです。
……え? 「その奴隷を転生者、転移者に強奪される心配はないのか?」ですって?
クッフッフ。いいところをついてきますね。さすがですよ。
その質問に答えましょう。この答えはノーです。あり得ません。
なぜかと言いますと、それはこのオークションが「野外」で行われているからです。
いくら転生者、転移者でも多くの人の目の前で暴れるようなことはしませんから。私たちが襲われる心配はありません。
……もしそれでも行動に移す転生者、転移者がいたとしたら、たぶんその人たちは自分の周囲を考えないトチ狂った思考回路をしているのでしょう。頭の中を覗いてみたいものです。
──私の講義は以上です。いかがでしたか? いい勉強になったでしょう?
……ほうほう、「もっと知りたい」ですか。好奇心が絶えませんね
それなら、私のもとで働いてみます? いい修行になりますよ。ちょうど人手が足らなかったのです。
最近、新しい転生者がこの町に来るという噂ですから私たちも奴隷の確保で大変なのですよ。
幸い、革命が起きて一つ国が変わったので奴隷の確保のめどは立っているのですが……どうしましたか? 「戦争が起きたならともかく、革命で奴隷が手に入る意味が分からない」と?
あれ? あなたは知りませんでしたか?
元王族の奴隷も、転生者、転移者に人気があるのですよ?
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