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星祭り

作者: 未空秋




願いがかなった暁にはきっと星は光って、黄金のように見えるでしょう。










「兄ちゃん、流れ星ってどんな色?」


星祭りは三日目の夜、彼は体が弱く外には出られません。


「流れ星っていうのはな、人によって色が違うんだって。俺が見たのは銀色の流れ星だった。」


そんな彼のお兄ちゃん、ユウはどうしても弟に流れ星を見せてやりたいと毎日星にお願いしています。


でもユウの必死な願いに流れ星というのは無頓着で止まってはくれません。


星というのは、そもそも気まぐれで猫のような存在なのです。


「7日目までに絶対流れ星を見せてやるからな!」


そんな儚い願いを星はかなえてくれるのでしょうか。


すると、外から歓声が聞こえました。


きっと流れ星が始まる時間なのでしょう、ユウは真剣なまなざしで弟にこう言います


「絶対にかなえてもらうからな!」


弟は寂しげに笑って


「行ってらっしゃい。」


とだけ告げました。


今日の流れ星も全部銀色です。


星は気まぐれなのです、ユウの中にこう語り継げます。


『今日の夢の内容を忘れないでね』


頭の中で響いた言葉は、ユウにとっての希望だと思ったのでしょう。


急いで家に帰って弟のもとに駆け寄ります。


「願いが!!願いが叶うかもしれない!!」


そう叫びよると、弟は嬉しそうに笑って


「ありがとう、兄ちゃん。」


ぽろぽろぽろぽろ、きれいな瞳から涙があふれだしていました


「今日は一緒に寝ような。」


ユウは弟を抱きしめて眠りました。


弟は、まだ泣いています。


弟はとてもうれしいのです、星の気まぐれだとしても。


とっても嬉しかったのです。





星祭りは6日目、弟はまだ流れ星を見てはいません。


でも大丈夫です、星の気まぐれでユウは大事なことに気づいたのです。


「明日には流れ星が見えるからな!兄ちゃんに任せとけ。」


そう言って、天井に上っていきました。


そうなのです、彼は天井をくりぬいて家からでもベッドからでも星が見えるように頑張っているのです。


あの日の夢で星はこう告げました。


『かなえたいなら、自分でかなえて見せろ』


それから毎日ユウは寝る間も惜しんで、天井をくりぬいているのです。


でもこの短期間ですべてをくりぬくのは難しいです。


ですので、ちょうど真ん中のあたりだけならば、なんとかくりぬけると思ったのです。


その見通しは完璧であり、明日の夜までにはすべて作業が終わるでしょう。


ユウは一生懸命になっていて気が付くとすべての作業が終わっていたのです。


「終わったぞ!!星が一緒に見えるぞ!」


「ほんとに?!兄ちゃん、ほんとにありがとう!」


彼はまたきれいな瞳からぽろぽろと涙がこぼれました。


そして、弟の手を引き屋根裏に来るとそこには、二人を祝福するかのように星が広がっていました。


「兄ちゃん、僕初めて星を見たよ…。すごくすごくきれいだね。星ってすっごくすっごくきれいだね」


そしてユウも弟によく似たきれいな瞳から涙をためて笑顔で答えました。


「星が願いをかなえてくれたんだ。」


すると空から一つ、また一つと星が流れてゆきました。


流星群です。


今は7日目でついさっきまで、つい一、二分前までは6日目だったのです。


「なあ、流れ星って今何色に見える?」


「僕は黄金、金色に見えるよ!兄ちゃんはやっぱ銀色?」


「俺も、俺も金色に見える。」


流星群に、その色に圧倒されていると星が二人に対して気まぐれを起こします。


『お前たち二人に、永遠の祝福を授けよう。


これは俺たちの気まぐれだ、ありがたくうけとれ』


金色の光に包まれて、二人は幸せそうな笑顔で流星群を見つめました。




☆彡おしまい☆彡






それが流れ星の色なのか、祝福の光なのかは二人にはあまり関係がないのです。


二人は一緒に流れ星を見れたことだけが、うれしくてしょうがないのです。


二人にも、それまた遠い東の国に住んでいる私たちにも祝福が訪れることを星に願います。





それでもやはり星は気まぐれなのです。




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― 新着の感想 ―
[良い点] おもしろかったです。 [気になる点] 天井に穴をあけるより、次の雨までにふさぐ方が大変な気もしますが
[一言] 一緒に流れ星見られて良かったですね!
2022/01/11 15:59 退会済み
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