二話:俺の日常 前編
数日後。
「ようやく、水浴びできる」
体を毎日限界まで動かして、食事を作っての繰り返しの日々。
それが今報われた!
普通に過ごす分には問題ないほどには体は大丈夫になった。
水浴びができる。
最近限界まで動くから汗が酷い。
それはそうと、あの服ってホントになんなんだろうね。
次の日見たら汗でベッタリだったパーカーが綺麗になってるんだよ?
凄くね?
選択いらずだよ?
主婦とかの味方のようなものだよな。
それはそうと、湖は綺麗でした。
加熱しなくても飲料水にして問題ない程度には綺麗でした。
どう確かめたか、った聞かれたら、ろ過をし続けた。
それで全く量が変わらずに五六回以上ほどすることができた。
つまり最初から綺麗な水ということだ。
ここに入るのは躊躇われたので近くで服を脱ぎ水を被るくらいにした。
……決して溺れそうで怖いとか、そういう理由じゃない。
そういえば、水面に自分の顔が写って、自分の顔がどんななのかわかった。
可愛らしい顔、白くて長い髪、変わらずの黒い瞳。
うわっ、可愛いけど。けど、俺は俺なんだけどなぁ……。
一日中動いても問題なくなったので、家を更に調べた。
調べてわかったことは、普通に暮らす分には欠片の問題もない設備が揃っていること。
台所や寝室は見たが、他にもリビングやトイレ、図書室に書斎、研究室?などもあった。
ちなみにトイレはしばらく行ってないのを思い出して、行ったが、感覚が違って危うく汚してしまうところだった。
そして、ここの持ち主は間違いなく俺ということ。
理由はわからないが契約書的なものがあり、それには俺のサインと指紋がついていた。
だから、好き勝手しても問題ない!
「ただ、契約書の指紋……今の体のだから、いつ押したんだろうっていうのはわからないんだよね」
ちょっと怖い。
そんなこともありつつ、俺は一番最初にとりあえず踏み台を探した。
食器を洗いたい。カビとか色々と出る前に!
それと調味料が使いたい!
という事で探した結果、ちょうど良いサイズの椅子があり、それを代用させてもらった。
その日の料理は調味料をふんだんに使ったものばっかりだった。
「あぁ、調味料。お前たちの力は凄い」
と、言ってしまうほどには調味料の力は凄かったです。
美味しくいただきました。
それと補足的なのだが、食材がなくなることがない。というか減ってない。
何日か過ごして気づいたもので、毎日使っても麺とかなくなることがないことに気付き、なにこれ……、と思ったのは記憶に新しい。
ホントどうなってるんだろ。
これも謎だ。
その日はそのまま寝て、次の日、この周りを調べようと思い歩く。
そしたら猪とかいて逃げ帰ってきました。
途中見つかって追いかけて来たと思うんだけど、家の周囲ある程度の場所に入ると途端に逃げるように帰っていった。
謎だ。
けど、それがわかっても何になるわけでもない。
絶対に、外には行かない。
しばらくは。
五七五の完成でぇーす。字余り一だけど。
「という訳でしばらくは本を読もうと思う」
家を調べてたときに知った図書室。
スッゴい量の本が並んでいた。
全部分厚い。
というか、この図書室のスペース、明らかに家のサイズに合ってないんだけど?
けど、何か分かるかもしれないから読もう。
幸い、本を読むのにそこまでの力はいらない。
一日一冊を心がけて読んでいけばいつかは終わる。
ここからルーティーンが始まった。
朝起きてご飯食べて、水浴びして、少し湖の周りを走り、水浴びして、ご飯食べて、本を読む、時間が余れば筋トレして、寝る、という。
「今まで働きづめで、ろくに休まなかったしな。こうやってゆっくりのんびり暮らすのは、意外に楽しいな」
毎日新たな発見や、体の成長、筋力の成長。できることの増えた喜び、新しい料理への挑戦など。
食材は何故かなくなることはなかったし、自由気ままな生活を続けた。
そうして発見したことのなかには面白いことがあった。
この世界には魔法がある。
それを知ったときには練習に明け暮れた。
といっても、筋トレの時間やランニングの時間を削ることで。
本にかかれていたのは、魔法の使い方や種類。便利なものから戦闘用のものまで。
全部取得させてもらうつもりだ。
「ウォーター」
と唱えると、水が発生する。
しかも真水。
覚えたての魔法、ウォーター。水を発生させる魔法らしい。
これを応用して、ウォーターウォッシュ、という魔法は便利だった。
洗い物に。
予めどのようにしてほしいかを念じ、魔力、と呼ばれるものを込めれば発動する。
綺麗に洗浄してくれる。
このような魔法を覚えると、魔法の練習時間が取れるようになったりもした。
嬉しい産物だ。
しかし、魔力には上限とかあるし、無尽蔵に使える訳じゃなかった。
どうやって増やすかも本にかかれていた。
限界まで魔力を使いきることで限界が拡張されるらしい。
ただ使いきると倒れてしまうので注意。
初めて魔法を使えると知ったときには、柄にもなくはしゃいでたくさん使ったさ。
それでぶっ倒れた。
という失敗が教えてくれることもある。
その魔法と並列して練習しているのが剣術。
これも本に書かれていて、技や戦いかたなどを知ることができた。
こちらの時間は起きる時間を早くして毎日ご飯の前に練習させてもらっている。
ちなみに俺の体はこの練習とランニングによってかなり強くなった。
本には呼吸法とか、身体強化の術とか色々とあり、今では十メーターくらいジャンプで跳ぶことができる。
まぁ、それがないとホントにちょっと鍛えた女の体だが。
話を戻して、俺の覚えた剣術は『桜湖流』というそうだ。
誰が発足させたかは知らん。書いてなかった。
そうやって何ヵ月、何年の間過ごした。
今のルーティーンは起きて、剣の練習、ご飯食べる、水浴びしてランニング、もう一度剣の練習して、ご飯食べて、本を読んで、魔法の練習して寝る。
そうやっていたら
「はぁぁ。おはよう」
誰もいないけど。
「さて、素振りだな」
俺は枕元に置いてあった一振りの剣を手に着替えをして外に出る
「チェンジアップ」
という魔法を唱えると俺の姿はチェンジする。
着替えの魔法、こんなのもあるらしい。らしいというかあるよね。使ってるから。
効果は着替え。ということらしい。
ただしこれを使うには「アイテムボックス」という魔法の取得が不可欠だ。
頑張って覚えたよ。そして便利だ。
原理は俺の今着ている服をアイテムボックスにしまい、そして代わりに着たい服を体に持ってくる、だそうだ。
俺は剣をしばらく振り続ける。
最初は寝起きで上手く力が入らなかったりするが振っていくうちに力強く、早いものとなっていく。
体感で一時間ほどそれを行い、俺は一先ずあがった。
フカフカのタオルで汗を軽く拭き、今日の朝飯の準備に取りかかる。
一応言うが俺は一日二食にしてる。
理由は特にない。
「今日は米と焼き鮭、味噌汁に漬物。いただきます」
一つずつ丁寧に、綺麗に食べる。
「ごちそうさまでした。さて、ウォーターウォッシュ」
ウォーターウォッシュで食器を洗い、もとの場所に戻して終わりと。いつもながら、あぁ、楽。
水浴びのために服を脱いで再び外に出る。
最初は出てから脱いでいたが、ここに人がこないことを良いことに脱いでから行くようにした。
だから、いつも俺は体とバスタオルの二つしか持っていかない。まぁ、アイテムボックスに入ってるけど。
そして最初の頃と変わったのは、
「お風呂になったことだろう」
覚えた魔法で、形を作り、それを固めて湯船にして、そこに水を入れて火魔法でお湯を沸かして入る。
「あぁ、暖かい。やっぱり日本人はお風呂が好きなのよ」
そんなことを言うのも何度目か。
三十分以上浸かって、湯船からあがり、体を拭いて、服を着て家に戻る。
露天風呂で寒くないのか、と言われると、それに関しては問題ない。
体温を保持する魔法をこの辺りにかけたので温度はいつも一定に保たれる。
風とかは入ってくるけど。それがたまに気持ちよかったりする。
そうやって走りながら考える。
ランニングしているのは基本的に湖の周り。
湖は半径百メートル以上はあると思う。正確に計ったことはない。
そんなランニングはその湖の周りを二時間程度ノンストップで走り続ける。
最初はホントに一周でバテてました。
今では最後まで息をきらすことなく走ることができる。
「今日はここまでかな」
と言ったら、俺の腰に鞘に納められた先程の剣が現れる。
というかこの剣って体格にあってないんだよね。
「午後は剣術。桜湖流:湖竜一閃」
何もないところに放たれたその一閃は、空気を斬った。
「ひゃぁ?!」
ヤベッ、変な声でた。じゃねぇ。
やり過ぎた。
威力とスピードが凄すぎて、空間断裂に近い現象を起こすんだよね。
こんなものを使ってたのか、本の著者よ。またはこの流派を立ち上げた人よ。
納めるには同じような物をぶつけるしかない。
「という訳で、もう一発!桜湖流:湖竜一閃」
同じ力で相殺を図る。
キィィィィン
と、耳に優しくない音が鳴り響く。
すると、先程まで荒れていた空気が収まった。
「今度から気を付けよ」
本当はこの後も剣の練習をするのだが、疲れたので一休みすることにした。
毎日更新、継続1。
適当に、3000〜4000で仕上げるとこうなる。
まぁ、楽しいし、やりやすいし、こんな感じです。
とりあえずまた明日。