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一話:俺は私になるけど俺である



特に何の変哲のない日々を過ごしていた。

今日も特に何もごともなく終わり、明日また同じような日々が続くと根拠もなく思っていた。


朝起きて会社に行って、仕事をして、飯食って、仕事して、定時に帰れずにまだ仕事して、終電乗って帰って、飯食って寝ての繰り返し。

それが明日もまた繰り返されるって信じていたんだ。


だからだろうか。


「危ない!」


そんな日々にいつか終わりが来ることを考えてなかった。

ましてやそれが自分から飛び込んで終わらせるなんて。




俺は自分が死んだことを信じられなかった。信じたくなかった。何事もなくまた明日がくると思ってた自分が哀れに思えた。

でも、何よりも俺は、


次に目を開けたとき俺が俺でなくなるのが怖かった。




・・・・・


はっ!


どこだ、ここ。

家でもない。会社でもない。

どこかの木造住宅の天井だ。

うん、知らん。

少なくとも俺の周りにそんな家はないし知り合いにもそんな家を持ってる人はいなかった!


というか、俺、なんか、いつもと体の感覚が違うんだけど?

はっ!これは最近流行りの転生と言うやつでは!?

……あれ、それだったら赤ちゃんとかじゃないの?

俺感覚では普通の大人と同じくらいの感覚だよな。

でも、いつもの体と感覚が違う。

うーん。赤ちゃんからじゃないやつなのか?

でも、とりあえず、なんか上手く力が入らない。

しばらくはこのままだな。


というか、なんで俺はこんか状況になってるのだ?

一番新しい記憶を思いだそう。


ムムムム。

えっと、俺は確か、あの日は丁度残業続きの仕事が終わって、いつもより早く帰れて、だからか気持ち良く帰ってて……そのあとMドナルドで軽く食べられるもの買って……それで、そのあと、子連れの母子が目の前で轢かれそうになっててそれを助けようと、飛び込んで、突き飛ばして、代わりに俺が轢かれちまって、それで俺、死んだ、んだよな。


多分大型のトラックが減速無しで突っ込んできたから、即死だったろうな。

最後の意識が、何も考える暇なく、体が冷えきってどんどんと意識が遠くなっていくものだったからな。


いや、それはもう、置いとこう。

今は現状確認が先だろ。なんとか頭と腕は動くし。


えっと、まず体は、手足はある、普通の人のな?

とりあえず良かった。人以外に転生とかごめんだ。


続きだ。

………いや、俺の手足細い。毛一本も生えてねぇ。

スベスベの肌だな。白い柔肌。

………次、胴体。

チラッ、……あぁれぇ?

なんだろう違和感が………頑強な胸板がない。その代わり、かな。膨らみが………あぁ、これ昔見たことがあるぞ。

そう、ボールやら何やらを服の内側に入れて巨乳とかなんとか言う、や、つ?


まぁ、待て。ちょっと待とうか。

えっと、何?服の内側……あるわけないよねぇ。だって、多分俺服着てねぇもん。

逆に目で見えない部分に着てたらそれはそれで驚くけど。


……一旦置いておこうかな。

次、顔。

ペタペタ。フムフム、頭のなかでイメージを構築して……こうだな。

……髪は?

…………駄目だ。

薄々勘づいていたが、もう逃げ道がない。言い訳はない。


全部確認してしまった。

認めざるを得ない。

俺、私になってる。




どうしよう、俺、性転換してる。

いや、転生だからそんなもんかと思うけどさぁ。

せめて、男だったら何も言うことなかったけどさ?

まぁ、選択肢なんて俺に存在しなかったしな。

むしろこれは男の時、やりにくかったものを楽しむチャンスだと!


何があるかな?

例えば女性の曲を人前で熱唱してもいいとか?

女向けのものを買いやすくなるとか?

レディファーストしてくれるとか?


………やべぇ、ろくなもん思い付かねぇ。

むしろデメリットがありありと……。


あぁ、もう。忘れよう。

私になっても俺は俺!

それだけだ。



そろそろ体とか動かしてみないと。

病人って訳じゃないだろ。


よっ、うん。ちゃんと動く。……さっきまでなんで動かなかったんだ?

まぁ、いいか。

跳び跳ねたりもできる。

走る…のはちょっとここじゃ無理だな。


改めて体を見てみる。


すげぇ、モデルみたい。いや、ただ、身長が……多分155位だと思う。

小さいな。

……マジで?


しばらくの沈黙。


まぁ問題はないな。

よし次だ。

声、出せるかな。


「ぁ、ああああ。あ、い、う、え、お」


大丈夫そうだな。

ただ、声が女の声で、自分でもビックリな美声で、違和感が……。


もう、いいか。

うん。

立てるし歩けるし、この辺を少し見てみるか。


家を出る。

綺麗な湖がある。

真っ直ぐ生え揃った木々が奥を見渡せないほどに生えている。


「凄い、綺麗な所だな」


一言目の感想はこれしかでない。

だって、それだけ綺麗なんだもん。

今出てきた家を見れば、それはログハウスという物だった。

雰囲気がいい。

見た感じこの辺りに人はいなさそう。


「活動方針を立てよう」


とりあえず俺、どうしよう。

まだ体に慣れないから転びそうなんだよね。

跳び跳ねたり走るのは出来るのに。まぁ、実はそれやっただけで足がガクガクいってる。

俺の体弱っ!

という訳でしばらくはこの場所でリハビリ的な物をするべきだと思うんだ。


なだらかな風が吹き抜けた。


寒っ。そういえば俺って服着てない……。

あの家に何か無いかな。


家に戻り、色々と漁ってみる。


「色々な服がある。ただし全部幼い子供の着るような物。えぇい、例え体がそうだとしても俺は俺!せめて普通な服をっ」


ごそごそガサガサ。

漁ってて思ったのは、ここの物って貰っても良いのか。

誰かに拾われた可能性もあるし、ここは俺の家じゃないかもしれない。

だが、背に腹は変えられない。

もしも違ったらそのときはそのとき。


しばらく探し回った。


あったよ。普通の服?ローブだな。白い少しサイズの大きめなローブ。それとこれまたサイズの大きめな黒色のパーカー。最後に白赤のワンピース。

最後のは見た目のことも考えて選んだ。

ローブは使い勝手の良さそうな物だしパーカーも同様の理由。

それ以外はホントに可愛らしいフリルとかの付いたものとかだったから。


今回はとりあえずパーカーにしよう。

着てみる。

あっ、肌触り、良すぎ……。

えっ、いや何でできてんの?これ。

めちゃくちゃ軽いし。


服の疑問は残ったけどわからぬものはわからぬ!

だから大人しく探索を続けよう。


………と思ったけど、足がもう言うことをきかない。

今日はもう無理。


這いずりながらもベットに戻り、再び休息についた。



体がぁ。


朝起きると筋肉痛が。

主に足回り。


「あぁ、もしかして、俺が動けなかったのって、単純な筋力不足?」


それだと納得は行く。

弱くて、体が上手く機能しなくて最初は動けなかったのね。

あぁ、それがわかってれば無理しなかったのに。


「むぅ、体、動かない。動けはするけど痛い」


あぁ、でも、体の匂いとか、お腹も空いた。

家のなかに台所はあったけど、お風呂なかったんだよな。

どうしよう。


……外の湖で水浴びだけでもするか。

あれ、でもあそこの湖って安全なのかな。

綺麗なのは間違いないけど。


グゥゥ。


駄目だ。腹減った。

食材、あるか?

道具は、最悪なくても良いか。


台所に這いずりながら向かう。

痛いぃと声をあげながら。


台所にたどり着いた。

そして、難問にぶち当たった。


手が、届かない……。

高さ150あるのか、俺じゃ目線しか届かない。

手が届かない。

料理できない。

マジで?こんな終わり方あんまりだ。


「…………いや、普通に考えて台所で料理しないといけない理由はなくね?」


一周回って気づいた。

多分そんな単純なことも思い付けないほどにはお腹の減りが重傷だったのだ。

うぅ。なんか恥ずかしい。誰もいないけど。


切り替えて、食材。

えっと、野菜から肉まで一式揃ってるよ。

調味料……はこの上だ。

うぁ、取れぬ。


調味料無しで美味しい物は作れない。

食べ物を粗末に扱うのはいけません。と何度も繰り返し言われて成長したから、美味しくいただかなければと考えている。


何を作ろう。あれなんかまだあるな。

……あれって、麺?


うん、これ麺だ。色んな種類のがある。

なら、良かった。

少し簡単になるな。

トマトスパゲッティといこう。


「………あっ、茹でるのどうしよう」


一難去ってまた一難。

火がなかった。

お湯ない。

どうしよう。


いや待てよ。さっきガスバーナーがあった気がする。


家のなかをゾンビのように這いずりながら漁る。なんか、もう慣れてた。


見つけた。

これで外の水を必要量になるまで何度も行き来してくんで(これが一番大変だった)、それを熱すれば完成。

(鍋や皿は下にあったから取れた)


「んんん〜〜」


パスタの麺を鍋にはいるように折ろうとしたらなかなか折れなかった。可愛らしい声まで上げてようやく折れたよ。

俺の力、数値化するならオール1だよな。


さて、パスタの麺を茹でて、トマトをソースにして、掛けて完成。


グググゥゥゥ。


ヤバい、腹が死にそう。

フォークを手に持って


「いただきます!」


一心不乱にパスタを掻き込んだ。

ちなみに姿勢は倒れながら。


姿勢が悪いとかそれはあとだ。

腹は待ってくれない。


その後黙々と食べ進め作った分を全て食べ終えた。


食べ終えたので食器を洗おうと思ったが蛇口に手が届かない。

外に水を何度かくみに行って、洗うことはできないが水につけるくらいのことはした。

でも、早くしないとカビる。これも対策を考えないと


とにかく、食事だけでこれは……水浴びはしばらく無理だな。

多分溺れる。


「……したら、今日はもう寝るか」


一日を料理を作ると食べるて、水くんでそこに洗い物入れるで終わり。今日は水浴びは諦めた。

これだけで体が駄目になるからなぁ。

肉体的なのは時間をかけて何とかしますか。


という訳でお休み。







暇潰しというか、なんか思い付いたんで書きました。

かなり適当な部分も多いのでそこはご了承下さい。


更新は未定です。まぁ、しばらくは毎日やる。だいたい二週間くらい。


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