死亡フラグ過積載桃太郎
ろっかく三回して打ち出の小槌を振るだけの簡単なラスボス。
むかしむかしあるところに、お爺さんとお婆さんがおりました。
お爺さんは「芝刈りが終わったら結婚しよう」と山へ芝刈りに。お婆さんは「こんな家に居られるか! わしゃ洗濯へ行って来る!」と川へ洗濯に行きました。
お婆さんが川で洗濯をしていると、川上から大きな桃が『俺を置いて先へゆけ! 俺を置いて先へゆけ!』と流れてきました。
お婆さんが「これは……もしや!?」と桃を拾い家へと持ち帰ると、包丁で中を割りました。
「やったか!?」
お婆さんが桃の中を覗くと、中から元気な男の子が現れました。男の子は桃太郎と名付けられ、大事に育てられました。
桃太郎が大きくなると、村を困らせる鬼を退治すべく、鬼ヶ島へと向かいました。
「帰ってきたら、お婆さんの手料理が食べたいです」
桃太郎は元気に旅立ちました。
道中でイヌサルキジをお供に加え、桃太郎は鬼ヶ島に辿り着きました。
「へへ、鬼なんかあっと言う間ですよ!」
サルが振り返りながら歩いていると、トンと何かにぶつかりました。それは金棒を担いだ屈強な鬼でした。
「誰があっという間だってぇ?」
サルは金棒で一殴りされ、瞬く間にペチャンコになりました。
キジが敵討ちにと鬼の目を突くと、鬼はその場に倒れました。
「手強かったぜ……」
「──キジ!!」
「──!?」
油断したのも束の間、キジは鬼の大きな手に捕まり、そのままピンポン球サイズまで小さく丸められてしまいました。
「ひぇー! すみません! 助けて下さい!!」
イヌが鬼にすり寄り、許しを乞いました。
「そうか、ならば助けてやろう」
「あ、ありがとうございます!!」
「生きる苦しみからな!!!!」
「──!?」
イヌが金棒で殴られ、そのまま星となって何処かへと消えました。
「後はお前一人だな……」
「村でお爺さんとお婆さんが待っている。負けるわけにはいかない!!」
桃太郎は二人と撮った古ぼけた写真を見て、鬼に立ち向かう勇気を貰いました。
「それが死亡フラグってヤツさぁぁぁぁ!!!!」
鬼が金棒を振るい、桃太郎は受けるのもやっとで、その激しい衝撃に、立ち上がることも出来ず地面に倒れ込みました。
「終わりだな──ハッ!」
「言ったな……死亡フラグを…………!!」
桃太郎が辛うじて立ち上がると、鬼に向かって刀を振るいました。
「超桃流奥義を受けよ!!」
桃太郎の刀が鋭く光り、鬼の体を一閃!
「…………?」
しかし鬼は全くの無傷でした。
「な、何故だ!? ならばもう一度喰らえ!!」
「……フンッ!!」
既に負けフラグが立った桃太郎は、金棒のカウンターで、見事ファーストクラスの快適な旅であの世へと旅立ちました。
桃太郎は知りませんでした。いきなり現れて奥義を放つキャラは大抵噛ませだと言う事に…………。