予告
ガラガラと教室の扉を開く。全員が僕の方をまじまじと見て、目を逸らした。先生が手つきで入れと言う。
僕はとぼとぼと机に向かって歩いた。
きっと今日は授業が少しも頭に入らないに違いない。……もし、スミレさんがなにか言いがかりをつけられていたらどうしよう……。
机に手を入れた。……何かが指先に触れている。
紙?
「梅園、早く座りなさい」
「は、はい」
鞄を横にかけ、ゆっくり紙を引き出した。紫色の文字だ。
徐々に全体が見えてくる。なんだ、これ……。
『次は松園浩一』
この一文とともに、長押に縄を掛けて首を吊っている、将太さんの白黒写真が入っていた。
どうしよう。頭がくらくらする。こんなんじゃさっきよりも授業に集中できないよ。
「ねえねえ香寿くん、それ何?」
後ろからひそひそと囁かれる。
「す、鈴子ちゃんっ?」
「なーにー、そんな驚いちゃって。えっちな写真でも見てたの?」
「そんなわけないでしょ……。ほら、先生の話聞かないと」
僕はそう言ってさっさと顔を前に戻してしまった。後ろからなにやら鈴子ちゃんがぶつぶつ言っている。
なんなんだよ、これ。
浩一さんが次? なんでこの写真が?
もし誰かがこの写真を撮ったのだとしたら、誰が撮ったんだ。
もしかして、将太さんを殺した人——。
「梅園!」
「えっ? は、はい!」
「三行目だ。早く読め」
「はい……」
言われてから皆の開いたページを見て、慌てて読む。一行だけ読んだら、鈴子ちゃんが続きを読み出した。
でも僕の頭ではずっと不安が渦巻いていた。
また誰か、死んだら——?