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首吊り死体が呪う村、痣のスミレの狂い咲き  作者: 藤野
第一章 呪われた村
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逢園村の格差

 この前お母さんと愛花姉さんから聞いたこの村のことだ。


 ここ逢園村(あいぞのむら)では、松竹梅の家が村をまとめている。

 一番偉いのが松園家(まつぞのけ)、次に竹園家(たけぞのけ)、一番立場が低いのが、この梅園家だ。松竹は一般の家よりも立場が高い。しかし、梅園家は一般の家よりも立場が低い。そのため仕事は多いが色々面倒事を押し付けられてしまいとても厄介らしい。


 そして、結婚をする上でのこの村の決まりがあった。松竹の家が梅園家に入ることはできても、梅園家から松竹の家に入ることはできないと言う決まりだ。

 松園家、竹園家はどの家に嫁入りしてもいいのに、梅園家は一般の家にしか嫁入りできない。でも松竹の家の人が梅園家に入るのはいいのだ。

 つまり上の者が下に行くのは自由だが、下の者が上に行くのは許されない、という決まりだ。


 僕とスミレさんの結婚は、上が下に行くだけだから問題ないらしい。

 僕は学校の宿題と睨めっこするのをやめ、顔を上げた。


「ねえ愛花姉さん、スミレさんはどうしてスミレって名前なの? 松竹梅の家の女の子は皆名前に愛って字を入れなきゃいけないんでしょ?」


 愛花姉さんは一瞬驚いた顔をした。そしていつもの明るい笑顔をしゅんとさせ、俯く。


「松園家と竹園家ではね、たまーに菫ちゃんみたいな紫色の目をした女の子が産まれるんだって、それは言ったでしょ?」


「うん」


「この村ではその紫色の目をした子は災いをもたらすとされている。だから紫の目をした子は皆菫って名付けられるんだよ。どうして菫に統一したのかは分からないけど……。

 でも松竹梅の家の子じゃないですよって意味で愛の字は入れないんだと思うな」


 なんとも嫌な気持ちになった。田舎の因習は残酷だ。スミレさんは何もしてないのに……。


「じゃあ、なんで僕がスミレさんと結婚するのことになったの?」

「梅園家だからさ」


 あまりの即答に僕は固まった。


「不幸も厄も何もかも、立場の低い梅園家に押し付けるんだよ」

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