8月4日の猛暑
某年8月4日
僕が住んでいるのは田舎町であり、目に入る住宅はどれも木製で景観がいい。
しかし、いくら景観がいいからと言って8月上旬の独特な、嫌になる暑さはなくならない。
燦々と照りつける真夏の日差しの中、帽子もかぶらず自転車を漕いでいる僕としてはとても嫌になるが、仕方ない。妹の注意を無視して帽子を被ってこなかった僕が悪い。
とりあえず何か飲みたい、と思った僕は目的地への道を少し外れ、コンビニへ向かった。
店内は冷房が効いていて外の地獄から逃れた僕には楽園である。ずっとここにいてたくなるが、とりあえずお菓子の商品棚を抜け、(ここを通るのは昔からの癖だ)大きな引き手の冷蔵に入った飲み物からお茶をとって会計を済ます。
コンビニから出るとやはり地獄だが、冷房から出たことも相まって先程よりも暑さが嫌になる。とりあえず影に入り、先程買ったお茶を口に流し込む。
・・・半分も飲んでしまった。
このコンビニ、街の端の方にあるから、山道が近い。少し遠回りになり、坂もきついだろうが、木陰が多いだろうし、山道から行くことにした。
山道の坂に差し掛かろうとした時、ふと風鈴の心地よい音色が聴こえてきた。
そう、ここまでは普通の話だった。
語り手からすればここからが変な話だ。あろうことか、何の気まぐれか、風鈴の音のした方へ向け、自転車のハンドルを傾けて道を曲がったのだ。普段なら気にしないはずの風鈴の音なのにこの時に限って風鈴の音のした方へ誘われてしまったのだ。
語り手がこの時のことだけを言うのなら
「こいつはとうとう頭がおかしくなったのか?」
としか言わないだろう。
ただ、結果として、この行為が得だった。猛暑の中、長い長い道を行かなくて済んだし、何より彼女とも出逢えたのだから。
他作品も更新してないのに新しいの上げてほんとに申し訳ございません。
疾走はして無いですが、私自身、どうも日常を書くのが苦手みたいでやはり更新は遅くなりそうです。この作品についてはとりあえず2日連投しようかな、と考えてます。(出来ればいいなぁ)