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……そう意気込んでいたが、此処は一体どこなのだろうか。大方屋敷の中だと思うのだが、生憎私は今4歳なので自由に屋敷の中を回れなかった。なので私が屋敷内で知っている場所と言えば自室と兄の部屋、食堂だけだ。あ、でもたまに内緒でお父様の部屋に入った事がある。
でもこの場所の事は何一つ分からない。よくある真っ白で何も無い空間と言うわけでもなく、確かに天井などは白いが周りは茶色のテーブルにイスなどの者が置かれている為異空間と言うわけでもなさそうだ。
と言うか今私、ベッドに仰向けで寝転がっているのだが。まあ多分今迄の思い出を振り返ってみると、兄の部屋の本を読んでいたら倒れたと言う事だと思う。
と言うかあの本、前世で言う”白雪姫”じゃないか?ストーリーが完全に似ていたと言う事ではないが、大分似ていた。
探せばシンデレラとかあるんじゃないかなと考える。桃太郎とかあるのかな。タイトルなんだろ、”ピーチボーイ”とか?ぷぷぷ。
と、そんな事を考えていたら――ドアが突然、ガチャリと開けられた。
しまった!目を閉じなければ……。と言うか誰だ。
「……レーゼ……すまない、僕のせいで……」
……お兄様キター!!!
うほほ、声だけでもものすごいイケメンだわぁうふふー。と言うかかってに私が貴方の部屋に不法侵入して勝手に本を読んでいただけなのになぜ貴方のせいになるんだろう謙虚ね好きだわ。
てかどうしよう、ちょっと今起きました感を出して起きた方が良いかもね。
「っ、うぅ…………おにい、さま……?
お兄様、どうなされたの……?」
……我ながら完璧だと思いたい。と言うかレーゼ声低っ!!よくある鈴の鳴るような声じゃ無くて同じ鈴でも神社のアレみたいな感じの声だよ!!オカマみたいじゃんやだな。ハスキーボイスと捉えてくれればいいけどさ。
まあ勿論、突然目の前に倒れていた筈の妹が目を覚ましたら驚く筈で。お兄様は目を丸くして見ていた。
よく見てみるとお兄様のその黄色い瞳には涙が溜まっているようで。エッなんで泣いてるの!?ワタクシ何もしていませんことよ!?
「……レーゼ……!起きたんだねレーゼ!!すまない、本当にすまない……!!僕がきちんと戸締りをしていれば……!!」
「お、お兄様。そんな顔をなさらないで?それにこれはわたくしが悪いのです、勝手にお兄様の部屋に入ったりなんかしたから」
「いいや、完全に僕のせいだ。ああ、どうしようか……そうだ、まずはシークを呼んでこようか」
シーク・ロコ。私付きのメイドさん。ハイドと言う弟がいて、ハイドはお兄様付きの執事さんだ。
この国では平民でも苗字と言うか、ラストネームが付くらしい。だからと言ってシークとハイドも平民と言うわけではないのだが。
と言うか私が考えている間にお兄様はシークを呼びに行っているっぽい。
流石完璧兄。素晴らしい。
では一応兄が居ない間に、私が知っている限りのこの世界の情報を言っていこうと思う。