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「っ、うぅん……?」
その日わたくしは、兄さまの部屋に忍び込んで読書をしていた。
いつもは読書なんてしないし、兄さまはわたくしより2歳も年上だから……本の内容はとっても難しくて、まだ4歳のわたくしにはよく分からない内容だった。
なんだか頭が痛くなってくる。
いつもは内容がよく分からなくても頭が痛くなることなんて無いのに、何故だかこの本を読んでいる時だけ頭がずきずきと痛む。
今わたくしが読んでいる本は、”Snow white”というものだ。
――とある魔女が「この世で一番美しいのは誰だ?」と魔法の鏡に問いかける。すると魔法の鏡はいつも「それは貴女です」と答える。
でもある日、魔女がいつも通り「この世で一番美しいのは誰だ?」と問うと魔法の鏡はいつもと違い「それはこの国の姫、スノー・ホワイトです」と答えた。
怒りに狂った魔女は、手下にスノー・ホワイトを殺せと命じた。でも手下はスノーを森に連れ込んだは良いものの、スノーの美しさにやられ、「この人は殺せない」と、殺さなかった。
一方その後のスノーは道に迷ってから、森で小さな家を見つけて、迷って疲れ果てていたのでつい家に入って寝てしまった。
その家は何と七人の小人が住む家で、スノーは何とか事情を説明して住まわせてもらう事になった。
そして魔女はスノーが死んだと思っていて、上機嫌で鏡に問いかけたが――……回答は前と同じで、スノーが一番美しいと、そう言った。
魔女は「一体どういう事だ!!」と怒り、「手下は使えない。そうだ、私が私自らの手で――」と、魔法で毒林檎を作った。
スノーの居所を突き止めた魔女は、小人が出かけている最中にスノーに毒林檎を食べさせた。
それで倒れてしまったスノーを、偶然通りかかった王子様がキスをして助けるというお話っぽい。
結構難しい言葉が使われているので、あんまり内容が分からなかったがたぶんそういう話だと思う。たぶん。恐らく。
タイトルの英語もわたくしにはまだ読めないが、たぶん”スノー ホワイト”と書かれているのだと思う。
それにしても、やはりこの本を読んでいると頭が痛くなってくる……。
さっきまではズキズキと痛む程度だったものが、今は何故か頭を鈍器で叩かれている様な……そんな、感じだ。
――あれ、なんか、力が――
入らない。そう考えた直後に、わたくしの視界は真っ暗になった。