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股間の伝説

目の前に広がるのはゴブリンの群れ、いや、もはやゴブリンの国と言った方がいいだろうか。数千の異常発生したゴブリンが蠢いている。


そのすべてが一人の男に敵意を向けていた。


「我放つは解放の衝動 飲め 穿て 水の波動」


男が呪文を紡ぐにつれて、その部位に黄の魔力が目に見えて濃縮される。


「その力は全てを飲み込む」


呪文を紡ぎ終えた男はコートの前を勢いよく開けた。


「ウェーブランサー」


その部位から魔方陣が描かれ、放たれた黄色い水の奔流がゴブリンを薙ぎ払い、飲み込み、貫いていく。その威力は地をも抉り全てが飲み込まれた。


数千のゴブリンがものの数秒で死に絶え、巨大なクレーターが発生した。


しかしこの威力を放った男の衣服も無事では済まなかったようで、甚大なダメージを負っていた。端的に言うと男が履いていたパンツが布切れになっていた。






この世の中で最強と呼ばれる魔法使いが居た。


その魔法は山を平野に変え、砂漠を海にし、夜を昼に変える力があった。


この物語は世界で最低の魔法使いに育てられた世界で最強の魔法使いのお話である。


ただし魔法は股間から出る。


彼を知る人物は彼の事をこう呼んだ。

股間の魔法使い、と。

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