第8話 マッハ20。①
今回は少し長いので、2つに分けてみました。
チュンチュンと小鳥のさえずりが聞こえた時に俺は目を覚ました。
「ん〜、もう朝か。昨日は色々疲れたからぐっすり寝てしまったぜ。」
結局昨日はあの後アンナさんとのネゴシエーションの場となり、結果半月ほど奢りの期間が延びたのは今となっては良い思い出だ。そんなことよりも、
「ポテッ。」
ポテ男。これからもお前と一緒に居られる事が俺は嬉しいよ。
眠そうにポテ男は前足で目を擦りながらベットの上を転がって来る。翼はと言うと綺麗に折り畳まれている。
なるほど、そういう感じになってるのか。
そんな風にボーッとしていると誰かがドアを叩く。
「お客様おはようございます。朝ごはんの支度が出来ましたので一階でお待ちしております。」
エリンさんだ。彼女はそう告げるとそそくさと下に降りて行った。
ふふっ。昨日俺に褒められた事によっぽど照れてるんだな。それにお待ちしておりますってもう、これは俺の魅力に陥落しちゃったかな??グフフフ。
普段着に着替えるとポテ男を背中に引っ付かせ階段を降りる。昨日自室に戻る時に分かったのだが、ポテ男は俺の背中が好きらしい。なので荷物がない限りはこうやって掴まらせて上げようと思っている。だって可愛いからね。
食堂に着くと不機嫌な不良娘がガンを飛ばして来た。大丈夫、これが彼女の朝の挨拶だから。
「おはようアンナ。」「おはよ。」
いつものように短い挨拶だけを交わし朝ご飯を平らげていく。
アンナは普段はショートパンツにメンズのブーツなど、ボーイッシュな服装が目立つが、パジャマだけは違う。
金の昇り竜が背中に刺繍された、真っ赤なツナギを着ている。そう、彼女は寝る時は漢になるみたいだ。
理由を聞いたら「これ幾らに見える?ふふふ、銅貨10枚やで。ビックリしたやろ?欲しいやろ?上げへんで。」
と意味不明な言葉を羅列していた。
どうでも良いが、それで近くの居酒屋に行かないでくれ、迎えに行くのが恥ずかしい。
この目玉焼きはエリンさんが作ったのかな、このスープはエリンさんが味見したのかな?間接キスになっちゃうなドゥフフ。
ポテ男に欲しそうにしていたデザートのリンゴを食べさせながら、そんな事を考えているとアンナに脛を蹴られた。
「朝からキショい顔すんなや。せっかくのご飯マズなるやろ。」
いや、口で言うなら脛を蹴る必要なくない?
ったくもう暴君アンナが。
そう言えばエリンさんは何処だろう。朝ごはんのお礼を言いたい。ほら、高級なレストランとかであるじゃん、シェフを呼んでみたいなの。あんな感じのをしたい。
くるりと周囲を見回すとエリンさんは宿の主人である父親と何か話している。やはり主人は父親であるようだ、だって昨日おとうさんと呼んで居たからね、その辺はちゃんと確認済みだ。ヌルッフッフッフ。
あまり良い内容の話でないのか、その顔は暗い。ちょっと聞き耳立ててみよう。
ちなみにお金の価値は、
銅貨=100円ぐらい。
銀貨=1万円ぐらい。
金貨=100万円ぐらいです。
それぞれ100の位で繰り上がる感じです。
色々値段設定がおかしいとは思いますが、そこはご都合主義で、この世界の希少価値がこんくらいなんだ、ぐらいの気持ちで読んで頂けると嬉しいです。