第4話 青春の迷子。
今回俺たちがここに来たのはビバリー姫の王冠が隠してあると言う情報を手にいれたからだ。
ビバリー姫はブリタ王国に昔いた王女様で、ヒルズ男爵と青春白書的な人生を歩んだのだが、身分の違いから当然結婚は認められず二人は駆け落ち、行方不明のよくあるパターンの話だ。その時に持ち逃げしたのが成人祝いにもらった王冠だという事。しかしこの王冠は情報の少ない割に、そこまで価値がある訳でもない為、トップクラスの冒険者は狙わない。よって俺たち初心者中堅クラスが受け持つ訳だ。
ビバリーさん達は数年前までは湖に身を投げたという事が定説だったが、ここ何年かで実は何処かの山の麓で生きてブレイクダンスをしていたと言う話が出てきた。
俺たちは今、薬草や害獣を倒しながら生計を立て、約半年がかりでこの王冠を探している。そしてどうやら、アンナはここが一番有力らしい。
理由を聞くと「女の勘よ。」と言っていた。マジか、お前女だったのか。知らなかったよ。
冗談はさておき、あいつの勘はよく当たるから今回もそうじゃないかと言うのが俺の本音だ。
ところでだ。
「やっべ、迷った。」
うん、やっちゃった☆
宿屋を出た俺は麓の家の人達に聞き込みをしてみた。やはり殆どの人はその存在すら知らず、唯一情報を持っていたのは90歳のおばあちゃんだけであった。九割何言ってるか分からなかったが、「森に……」と一単語だけ聞こえたので、ここで行かねば男が廃る!!と森に来たのだが………
「やべぇな、これ完璧アンナにどやされるぞ。」
しかし皆の衆、怯える事はない。恐らく時間と方角から考えてもそれ程まだ離れていない。
こういう時は、
「ジャジャーン!!ケーシーの実!!」
そう、ケーシーの実だ。これを軽く潰せば大丈夫。まぁ、とりあえず軽く足で踏むか。
ふむ、今更ながらよく見てみるとこの実って不思議だよな。茶色い木から生るのに綺麗な金色だし……。金色?
「おらっ!このっ!くそっ!アンナの野郎!本気でやりやがって!はぁっ、はぁっ。」
「あっ。」
やっちゃったpart2