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ユキ
まさるにとって、ユキはベストな彼女ではなかった。
料理ができて、世話好きで、マッサージもうまくて、ミステリー好きだって同じ趣味があって。
なにが足りないって?
「まさるぅ。早くこっち来きてよ!お布団1人だと寒いー」
「え、今まだ真冬じゃないんだけどな」
「えー、わたしの心は今雪だるまだよ」
「意味わかんない比喩だな」
足りないもの。それは何とも表現しずらいもの。
「いじわる。そんなのんびりしてると、わたし寝ちゃうよ?」
「あ、そんな怒るなって。今行くから」
可愛くとがらせた唇に、赤らめた頬、まさるを見つめて止まないキラキラした視線。それでもユキには無いものは…。
まさるはその気持ちを傍に、ユキを抱いた。
「僕の、可愛い可愛いお姫様。今日は朝まで寝かせませんよ」
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