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白銀の魔法使いの愛弟子  作者: 緑青海雫
第2章 ある少年と猫の話し
18/23

小さな星の願い事 *前編*

お待たせしました!

チャロ視点に戻ります~!

 



 落ちる感覚に、びくんっ!と身体が反応して、チャロは目が覚めた。




 心臓は早鐘を打って、ドキドキと鳴っている。


 パッチリと目を開けると目の前に、あどけない表情で此方を眺める美少年がいた。

 ラベンダー色の髪と小麦色の金の瞳。

 華奢な身体の男の子は、チャロと目を合わせるとニッコリ微笑んだ。


「…っ!? リィル、ステラ…?」


 居るはずのない人物に思考が付いていかない。


 あまりの驚きに、チャロの喉がひくりと鳴った。

 寝起きに、さらに畳み掛けるような驚愕を受けて、チャロは、暫く思考が停止していた。


 そんなチャロの様子を、リィルステラはニコニコと見詰めていた。



 そしてチャロは、気付いた。


 ずっと夢を見せられて・・・・・いたのだと。


 『リィルステラ』に二人の夢を。


 ほとんどの視点が、リィルステラからだった事に考えが至り、チャロの思考は徐々にハッキリしていった。


 二人の思い出の『絆の力』に引きずられて、チャロは追体験をするように、リィルステラの最後を夢で見せられていたようだ。


『こんばんはっ、シャロン!

 はじめまして、だね!』


「は、はじめ…まして…、リィルステラ…。

 失礼かもしれないけど…えっと、その…君は、幽霊…だよね?」


 チャロは、戸惑って呆然とする。


 実はまだ少し、ディオティマの感情に引きずられて心の整理がつかず、頭の中が混乱していた。


『あはは! そうだよ!

 う~ん、幽霊…って言うか、神霊に近いかも?』


神霊しんれい…?」


『うん、神霊! 精霊の上位種だよ。

 ほら、若木とは言え世界樹と同化したからね、世界への干渉力が強いと、人の魂では色々と厳しいみたいで。


 さらに、若木の意志が虚弱で…より植物に近かったみたいで精神体が無かったから、これ幸いって感じで。

 気付いた時には、ぼくは再編されて世界樹の精神体たましいなっていた・・・・・んだ。

 だから、今のぼくは『リィルステラ』であって『リィルステラ』じゃないのっ!

 世界樹が外界へ顕現するための、コミュニケーションプログラムの統括中枢が神霊という『 存在ぼく 』。

 あぁ~…ちょっと色々複雑で説明が難しいやぁ…、よく分からないよね!

 ごめんね、シャロン…。 」


 チャロを上から見下ろした体勢で、リィルステラはしょんぼりとした。


「…………えっと、精霊は四大元素の化身だから、…世界樹版の守護力の強い『お花の妖精さん』?みたいな存在が神霊ってことかな?

 そしたら…、リィルステラって呼び名で良いの? 」


「あ、そうそう! 花の妖精さんみたいなもんだね!

 さすが、シャロン! あったまいい~っ!

 うん、固有名詞はリィルステラで良いの~!

 宜しくねぇっ! 」


 元気なリィルステラにたじろいで、チャロは少し口ごもった。


「リィルステラは……なんで、此処にいるの?」


 もっともな反応であった。

 世界樹の一部というより、世界樹そのものとなったと宣ったリィルステラが、なぜチャロの目の前に顕現しているのか…。

 それも、初対面の少年に対してだ。


 チャロは警戒するように、そっと半身を起こしてベッドの上に座った。


「あっ! そうだった!

 あのね、ぼく、実はずっとディーにくっついて世界中を旅してたんだよっ!

 それでね、何処に行っても警戒心の強いディーが、此処に来て、たぶん始めてなほど『ホッ』として安らいでたから、嬉しくなってね! これは、お礼しなきゃって!

 あと、久しぶりに誰かと喋りたくって、ね!

 だって、シャロンはぼくが見えるんだもの!

 これは、喋らなくっちゃもったいな~いっ、てね!

 ねぇねぇ、シャロン! ぼく、君の守護神霊になっても良いかな!? というよりむしろね!

 あのね! あのね!ぼく、シャロンとねっ!」


 爆発的に喋るリィルステラに、チャロは瞠目した。


「ぼくっ、シャロンとね!お…」

「まっ、待って待って! もっとゆっくり話して!?

 はぁ…、リィルステラって、そんなにおしゃべりだったんだね…。」


 チャロは、少し悲鳴をあげるように抗議した。

 チャロの周りは殆どが大人で、町に居る子供は皆、おっとりしていたから、こんなにも立て続けに喋る人は居なかった。

 あまりの迫力に、チャロは圧されていた。


「あっ! ごめんね、シャロン…。 およそ200年ぶりにヒトと話すから嬉しくなっちゃって…。

 ぼ、ぼくのこと、嫌いにならないで…?」


「だ、大丈夫だよ。 嫌いにならないから、そんな風に泣きそうな顔しないで。

 ぼくの周りに、早口で沢山喋る人が居なかったから、リィルステラの早さにびっくりしただけだよ。」


 うるうると、瞳いっぱいに涙を貯めて、今にも泣き出しそうなリィルステラへ、チャロは焦って弁解をする。


「そうなんだ! うん、気を付ける!

 あぁ~、よかったぁ~…!

 嫌われちゃったら、どうしようかと思ったよ…。

 ぼく、同じ年頃の友達が居なかったから、シャロンを見たときから友達になれないかなぁって、ドキドキしてて!」


 ホッとして、涙を拭う仕草をしたリィルステラにチャロは苦笑いをした。

 そっとベットを抜け出して、勉強机の椅子をリィルステラへ提示する。


「ぼくも、リィルステラと友達になれたら素敵だと思うんだ。 椅子、どうぞ?」


 リィルステラは、その言葉に歓喜した。

 花が咲いて光が溢れそうな眩しい笑顔を振り撒いて、思わずと言ったようにチャロに抱きついた。


「ホント!? ホントに!? やった!

 シャロンっ! シャロンっ、ありがとおっ!

 ぼくのはじめての友達だっ!!

 宜しくね! リィルって、呼んでよ!!

 あぁっ! 夢みたいだっ!! 」


 チャロと殆ど変わらない身長の少年は、チャロの肩口に顔を擦り付けた。

 思いっきり擦り付けられているのに、まるで羽毛に撫でられているような感覚だった。


 リィルステラは神霊らしく物量がなかったので、抱き付かれた衝撃がチャロには無かったものの、森の中に居るような深緑の香りが、ふわりと鼻孔をくすぐった。


 そしてチャロは、ふと思った。


「ぼ…、ぼくも、同じ年頃の友達は、始めてだな…。」


 チャロは、思わず呟いて少し頬を赤くした。

 その言葉に、リィルステラが勢いよく顔をあげて、チャロをまじまじと見つめた。


「ぼくも、チャロって呼んでいい? 」


「うん。 いいよ、リィル。」


「ちゃ、チャロ、宜しくね!!

 うわっ、これは照れるっ!! 」


「ふふ、そうだね。

 ぼくもちょっと照れちゃったよ… 」


 クスクスとお互いに笑い会うと、リィルステラはチャロの勉強椅子へ腰掛けた。


「ところで、さっきの守護神霊がどうとの、ディオティマ殿がなんとかって、詳しく聞かせてよ?」


「あっ! そうだった、そうだった!

 えっと、あのね、ディーはね、ぼくの色々とヤラかしちゃった実の父親を探す旅を、女帝陛下に命じられて…何年も、何十年と追っ掛けて世界中を旅してたんよ。


 その旅をしていて何より実感したのは、太陽の翼国におわす我等が女帝陛下の勅命って云うのが、ものすごく強い・・)んだってこと。


 女帝陛下の遣いが突然、断りなく地上の王様たちを訪問しても赦されるし、そのまま直接会って頼み事を出来るくらいにね。


 ディーは、下の世界では高い地位を持つ者として敬われる。その分の責任の重さは、その地位と同じで重いし辛かった。

 国賓として扱われるから、何処に行ってもディーは気を張りつめて…、誰に会ってもいつ何時でも気が抜けず…。


 独りになると、いつもいつも疲れた表情をしていたディーを、ぼくはず~っと側で見守ってたんだ。」


 リィルステラは、悲しそうに微笑んだ。

 チャロは、静かにリィルステラの話しに相槌を打つ。


「そんなディーがね、いま、与えられたお部屋でゆっくりと何の警戒もなく深い眠りに入ってるの!

 ね! すごいでしょ!?

 この家が、地上の何処の国より安全で安心できるからなんだよ!

 それってね、白銀の賢者さまのお陰だよっ!

 あんなに優しいヒトは、見たことがないや!」


 ニコニコと微笑みながらクラトスを誉められて、チャロは嬉しさに口許が綻んだ。

 ニッコリと微笑めば、リィルステラがニコニコと笑い返した。


「だからね、だから…何かを恩返ししたいの!

 あの方は強いから、ぼくに出来ることって殆んど無いけど、彼のお方に比べてチャロはまだ弱いもんね!

 あの方の至宝を護る力…友達を護る力なら、ぼくにも有るから、白銀の君への恩返しも込めて、大切な友達のチャロと守護の誓いを交わしたいの! って思ってね…」


「守護の誓いって、なぁに?」


 チャロは、こてんと首を傾げた。

 リィルも、つられて首をこてんと傾げた。


「んとね、守護の誓いってね、ぼくの力をチャロに貸したり、チャロに近付く魔とか厄とか穢れとか取り合えず悪そうなモノを祓ったり…。

 詳しい話だと、ぼくの場合は本体が世界樹の若木だから植物関連…薬の調合とか植物の成長促進とか?

 あとは紫水晶のせいで、魔力のブーストも出来るね!


 あっ! それにね、それにね!!

 チャロの力をぼくも借りる事が出来るようになるよ!


 あ、えっと、だから、簡単に言うと、友達宣言?を世界に表明するみたいな感じなのかな??」


 チャロは、しばしポカンと口を開けていた。

 リィルステラが言った話を聞く限り、守護の誓いの特典は、魔法使いにとって垂涎の待遇だ。

 まさに、反則に近い素晴らしく有意義な内容だった。


「いろいろと…す、凄いねっ! 友達宣言かぁ…。

 リィルが居るだけで、ぼくは多いに助かるよ。

 えっと、ぼくの力をリィルが使えるって、例えば?」


「チャロは、"真実の瞳"を持ってるでしょ?」


「えっ!? "真実の瞳"って?? 」


「不可視の者たちを視ることが出来るでしょ?」


 チャロは、ハッとしてリィルを見詰めた。


 世界最強の魔法使いと名高いクラトスさえ、手順の面倒臭い魔法を用いらなければ、不可視の者たちが見えない。

 たまに生まれもって第六感が鋭いヒトが不可視の者たちを視る事が出来るが、チャロほど自由に制限無く干渉し関わりを持てるものは居なかった。


 どの文献にも、やはり魔道具や依り代の人形、中級魔法を用いて彼等と交流を図っていた。


 どんなに調べても、チャロの様な不可視の者たちに干渉することが出来る能力者の事が記載された書物は、どこにも無かったのだ。


 故に、チャロは自分の力について、殆んどのことを知らない・・・・のだ。





ぼーい、みーつステラ!


猫の思出話かと思いきや、夢落ちという…w

さて、リィルステラがやっとこさ登場しました。

そして、チャロくんの謎も少しずつ深まります。

前日の夜に、ディオティマとクラトスの話し合いから更に突っ込んで掘り下げ始めました。


チャロの住む町の人口が増えてきました。

その内、ラリマール君も加わって、ショタ3人組wとしてお話しの中を走り回ってもらいたいものです。

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