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痒い

 腫れて爛れた皮膚からは生臭い透明な黄色い汁と血が滲んでいた。掻き毟ったせいだ。このまま皮膚が全て剥けて肉がむき出しになっても、掻くことを止められそうになかった。気が狂いそうに痒い。

 周りの人間は滲む液体の臭いと爛れた肌に眉をしかめ、目を逸らし、嘲笑う。時折、聞こえよがしに放たれる「臭い」「汚い」という露骨な嘲りの言葉。所詮は他人事だ。


 だが人々はまだ知らない。原因不明の皮膚病はやがて世界を冒していく。

痒みは辛いです。

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