花弁の隙間を…。
最近は雨も降らず、異常気象の為か、さんさんと太陽が僕を照りつける。
「暑いっ!。」の一言が今の口癖。
咲良とも茜ちゃんともあれからなんの進展も何にもないまま現在まで至っている。
今は目の前にある初の期末テストと言う大事なテスト勉強をするのには何も無いのがいいのかも、と思いながらも、僕はあの二人にとってなんなんだろう?と頭を抱える。
「はぁ〜。」
これは僕に対してのなんのテストだろう?。
問題集の分からない問題と自分の周りの分からない人間。
僕はもうおしまいだ。
そんな時携帯電話の着信音が僕を呼ぶ。
「はい。」
「瞬っ、勉強してた?、ごめんっ。1年の数学の問題集ちょっと貸して!!。」
「あ、うん。いいよ。」
「今から取りに行くから、バイっ!。」
相変わらず煩い感じの茜ちゃん。
あれからなぜか吹っ切れた様子でいつも元気がいいもとの茜ちゃん。
茜ちゃんは1分もしないで僕の家の階段をバタバタと登って、僕の部屋へと来る。
「ごめ〜んっ、瞬っ!。」
あ、騒がしい。
「いいよ、別に…ついでだからここ教えてよ。」
「あ、うん。いいよ。」
僕は勉強机の上の問題集をシャープペンシルで指す。
「あ〜、これね、ちょっと待ってね。」
頷きながら問題を読む茜ちゃんの首筋を見て、僕はドキッとする。
あ、いかん、いかん。そう思い、ふと目を窓にそらした僕の目にまたあの光景が映った。
今日は風がなく靡いていない少し開いた桜色のレースのカーテン越しの、咲良と兄貴ひなたの行為。
「あ…。」
僕は思わず声を発してしまう…。
「瞬?。」
僕が口を開かなければ、多分気づく事はなかっただろう茜ちゃんが僕の視線の先を見た。
咲良のすーっと綺麗に伸びた首筋にキスをする咲良の兄貴ひなた。
少し開いた桜色のレースのカーテンとその隙間に交互に変わる咲良の裸体。
僕と茜ちゃんはそんな二人の行為をただ黙って視線もそらさず見ていた。
しばらくして兄貴ひなたは急に動きを止め、
「…。」
咲良は座り込んだ。
レースのカーテン越しとはいえ、明るい電気の明かりは人の表情までとはいかないけど、何をしてるのかがはっきり見える。
「瞬。」
涙も流さず茜ちゃんは僕の名前を呼ぶ。
「何、茜ちゃん。」
「うんん、何にも無い。」
「そう…。」
ただ、ただ、会話にならない会話で、今も外をぼーっと見る僕と茜ちゃん。
しばらくして、茜ちゃんの携帯電話と僕の携帯電話の着信音が鳴る。