僕は蝶。
「おはよう、瞬。」
門を開けた所で、茜ちゃんに声をかけられドキッとする僕。
「お、おはよう。」
「ふふ、眠そうね。」
茜ちゃんの顔がまともに見れない僕に対し茜ちゃんは何とも無いような顔で接する。
そりゃぁ、眠いさ。
茜ちゃんと目が合わない様に僕はそっと茜ちゃんを見る。
意識してしまう…。
「はぁ〜、なんかよく眠れたぁ…。」
今日の晴れた天気と同様すっきりした気持ち良さそうな茜ちゃん、背伸びなんかしてる。
もちろん茜ちゃんには僕に恋愛感情が無い事は知っている。
僕は久しぶりの煩いくらいの茜ちゃんの話を聞きながら茜ちゃんと学校までの道のりを歩く。
僕と違って、意識の意の字も無いすがすがしい顔の茜ちゃんの忙しい話しと別れ、
「瞬くん、おはよう。」
朝、下駄箱で今度は咲良に呼び止められる。
僕は咲良の顔も茜ちゃん同様意識し見れなかった。
咲良は三日も学校を休んでいた。
お見舞いに行こう…と思っていたが、それどころではなくなっていた事は言うまでも無い。
咲良と茜ちゃんが僕の頭の中の水槽で揺ら揺らと泳いでいる。
「お、おはよう。よ、良くなったんだ…。」
「うん。瞬くんは風邪ひかなかった?。」
うわぁ、今の質問…思い出す、あの時…。
顔から火が噴出しそう。
「ぼ、僕は、馬鹿だから風邪ひかないんだ。」
な、何を言っている僕、馬鹿みたいじゃんか?。
「やだぁ、瞬くん変。」
「そ、そう?。」
「ふふ。」
笑う咲良。な、なんか苦しい…。
背中に感じる咲良の気配が僕を呼吸困難へと落とし入れようとする。
「はぁ…。」
咲良に気づかれない様に小さくため息をついて教室まで歩く。
あ〜、今日は朝から心臓に悪い。
僕と寝て事なんてまったくなんとも思ってない様な二人を羨ましく思う。
「瞬くんっ、教室ここだよ。」
咲良はニコニコして僕を呼び止める。
「あ。」
「大丈夫、やっぱ風邪ひいてるんじゃない?。」
覗き込む咲良顔…。
あ〜今日も保健室に行こうかな?。
僕はそう思う。