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瞬、咲良、茜、ひなた。

 俺の12年…ずっと八重子さんが好きだった。

咲良を抱いても、茜と付き合ってもその気持ちは変わらなかった。

咲良に感じる八重子さん。

八重子さんがいなくなった今、俺はどうしたらいいんだろう?

もう一度咲良を抱いて八重子さんを感じたい…。

八重子さんを感じ…?

 

 ひなたのお母さんが亡くなってダイブ経つ。

ひなたの携帯電話に留守電を入れても返事は返ってこない。

小さい頃、多分初恋だったと思うひなたが想いを寄せていた咲良ちゃんのお母さん。

初恋の人を失うのってどんな感じだろう?

私には分からない。

本屋からの帰り道、私は大廻りをしてひなたの家の前を歩く。

「咲良ちゃん」

「…」

門の前で花に水をかけている咲良ちゃんと会う。

咲良ちゃんは花に水をかけるのを止め、私にお辞儀をする。

「大変…だったね」

「あ、はい…」

「ひなた大丈夫?」

「部屋から出てこないんです」

咲良ちゃんは困った顔で寂しそうに言う。

「そう…なんだ…」

「茜ちゃん…お兄ちゃんを助けてあげて…」

「咲良ちゃん…」

妹としての切実な思い、でも私はそれに答えられない。

「お兄ちゃんの大好きな茜ちゃんならきっと…」

そう言う咲良ちゃんの顔をみて私は首を横に振る。

「ひなたを助けてあげられるのは私じゃないよ、咲良ちゃんあなただよ」

「茜ちゃん…?」

「ひなたはあなたを想ってるもの…」

私とは違う透き通る白い肌の咲良ちゃん羨ましいと思っていた…以前の私ならきっと今みたいに平然な気持ちでこんな事言えなかったと思う。

「お兄ちゃんが想ってるのは…茜ちゃん、ウチのママなの」

「ひなたがあなたのお母さんを好きだった事は知ってる…でも、私は違うと思う」

「…」

「私ね、ひなたにあなたに対する気持ちを面と向かって言われた事があるの。あの、あの時ね…」

「あ」

咲良ちゃんは困った様子で顔を赤らめ私を見て俯く。

「あの時私が感じたのは、咲良ちゃんのお母さんの事を好きだったのは幼稚園の頃で、今は咲良ちゃんのお母さんを好きなんだと言う想い込みなんだと思う」

「…」

「初恋はいつまでも綺麗な想いでとっておきたいから…私、何言ってるんだろう?訳が分からなくなっちゃった」

「…」

「上手く言えないけど…。ひなたが今好きなのは私じゃない、私は妹を好きだと言う気持ちを世間に誤魔化す為のものだと思う。…血は繋がってなくても義兄妹だから…」

「茜ちゃんは…」

咲良ちゃんは私に何かを言いかけて止める、言おうとしたんだろう?

「なんか何言ってる分からなくなっちゃったけど…あなたが少しでもひなたを想うなら今度はあなたがひなたの事助けてあげて…」

「茜ちゃん」

ここまで言えるようになったのは、きっと瞬のお蔭…。


 茜ちゃんが言う事…『今度はあなたがひなたの事を助けてあげて…』

いっぱいお兄ちゃんに助けられた。

『茜ちゃんは瞬くんの事どう想ってるの?』聞きたかった、けど途中で止めた言葉。

お兄ちゃんを助けられるのは本当に私なの?

私には分からない…。

どうしたらいいんだろう…?


 

 僕は、自分の本当の気持ちを知ってしまった。

茜ちゃんを大切に想う。

目の前に咲良がいても茜ちゃんと咲良の兄貴に嫉妬した。

茜ちゃんを取られたくないと思った。

咲良がいいと想ったのは本当、だけど僕は茜ちゃんが好きだ…。

でも、今の咲良には言えない。

これ以上咲良を悲しませたくないと思う。

僕は、どうしたらいいんだろう?


瞬、茜、咲良、ひなた。それぞれ4人の気持ちがうさする。

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