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咲良色の花。

 心から本当に好きだと想える人。

クラスの中では普通でおとなしくてあんまり目立たない彼。

でも、心が温かくて一緒にいると安心する彼。

私の事を何もかも知った上で好きと言ってくれた瞬くん。

私はこれから瞬くんとだけ…瞬くんだけを見ていく。

これが私の初めての恋。 

 

 私はお兄ちゃんのひなたとは血が繋がっていない。

6歳まではマンションの隣の部屋に住む隣のひなたお兄ちゃんだったが、ある日突然、うちのママとひなたお兄ちゃんのパパが結婚する事になり、私は佐々木咲良から妻夫木咲良になり、二人家族から四人家族になり、一人っ子から二人兄妹になった。

お兄ちゃんはスラッとした身体に肌は程よく小麦色、整った綺麗な顔立ちをしていて、中学校の時(今も)よく羨ましがられ私はお兄ちゃんの妹になれた事がすごく誇らしいと思った。

そんなお兄ちゃんは私にいつも優しい。

そのいつもの優しさが私に起こった事件で、より一層強い優しさを感じる事になる。

怖さより、感じた気持ちよさをもう一度感じたくて、口にした言葉。

気持ちよさのが強かった自分を苛めたいと思って言った言葉にお兄ちゃんは優しく答えてくれた。

本当はまさか答えてくれるとは思わなかった。

きっと本当の兄妹なら有得なかったと思う兄と妹のこの関係。

お兄ちゃんはまだ私の傷が癒えていないと思って抱いてくれてると思う。

茜ちゃんという彼女ができても…。

でも、もう…お兄ちゃんとは終わりにしたいと思う。

お兄ちゃんを私から開放してあげないと…。


 「お兄ちゃん?」

「ん?」

お兄ちゃんはここんとこ机にずーっと向かって勉強をしている。

テスト中でもあんまり勉強してるとこを見たことないのに…。

「ちょっといい?」

お兄ちゃんは背伸びをすると私の方を見る。

「何、問題集が分からないの?」

「うんん」

いざ顔を見るとなぜだか言えない。

「何、どうした?」

「うん、あのね、私とお兄ちゃんがしてる、その、あれね、もう止め様と思う」

私が言う途切れ途切れの言葉を最後まで聞くとお兄ちゃんは突き刺さるような目で私を見つめる。

お兄ちゃん?。

じーっと穴が開きそうなくらいお兄ちゃんは私を見て、椅子を半回転させ私に背中を向けると、

「嫌だ。」と、一言思わぬ返事が帰ってくる。

「お兄ちゃん、茜ちゃんが可愛そうだよ」

身勝手な私は茜ちゃんの名前を出す。

「茜は茜、妹は妹」

「そ、それに私…大切な人ができたの」

「…」

「だから、お兄ちゃん」

「…」

お兄ちゃんは返事すらしてくれなくなった。

「じゃぁ…」

私は今はこれ以上話はできないと、お兄ちゃんの部屋を後にした。

  


 また、茜ちゃんと寝てしまった。

毎日一人になると考える。

僕は咲良が好きなのに…心より身体か?

慰めるつもりで抱くなら、もっと違う方法で慰めるべきなんじゃないかと思ったりもする。

咲良は僕と茜ちゃんの事、知ったらどう思いどう感じるんだろう?

嫌だろうな…?

僕が咲良と兄貴の事を知った時は…ん?

僕は、変なのかな?

でも、本当の兄と妹ではないと知った今はすごく嫌だと思う。

あれ、本当に僕って変なのかな?

近親相姦のが…平気なのか?

ああ…この暑い太陽のせいで僕の頭は変になってるのか?

「はぁ〜、テスト中なのにな」

テスト勉強どころじゃなくなってしまう…。

ああ、どうせ勉強できないんなら寝てしまえっ!

僕はどうなってるんだろう?


 最後のテストの日、やっぱり惨敗だ…。

最悪のできだ…しかも数学なんて答案用紙をビリビリに切り裂いてしまいたいほど、サイアクのでき。

「はぁ…」

「なんだよ瞬、最近ため息ばかりだな。」

「最悪。俺死にたい…」

「大袈裟だな…まだ一年だからいいんだよ」

そういう問題じゃなくて…。

「まぁね」

ぐったりと机の上に伸びている僕に、

「瞬くん…帰りちょっといい?」

「うん、いいよ」

意味深な顔で咲良が言う。

ちょっと…。

ちょっと、ってなんだろう〜?あ〜、もうどうにでもなれ〜!!


 ホームルームを終え、カバンを持って下駄箱に行く。

咲良が待っていた。

「ごめん、ごめん」

「いいよ、一緒のクラスなのにね。ふふっ」

どうしたんだろう?さっきの意味深の顔と違ってさっぱりした様子の咲良。

「なんかあった?」

「ん?、そう…」

咲良は珍しくモジモジし、

「私…ね、お兄ちゃんとのあの関係はすっぱり切ったの」

「ん、あ、あ、そうなの?」

「だから…」

「ん?」

「瞬くんだけを見ようと思うの…」

「ふーん」

ああ、そうなの…ふーん。

「…」

僕は考えた。僕だけを見るって?、僕だけって事は…つまり…。

「えっ?」

「意味、分かった?」

僕は生唾をごくりと飲み込んだ。

「えっ、あ…つまり…」

こんな事初めてで、戸惑う。

「瞬くん、私と付き合って。」

咲良し恥ずかしそうに頬をピンクに染めて僕に言う。

可愛い咲良が僕の物に…?

僕の好きな咲良…好きな…ん、なぜ?なんでこんな時に茜ちゃんが僕を見つめる顔が浮かぶ…。

「…」

「瞬くん?」

「咲良…」

茜ちゃんとの事は、言わないべきだよな…?

「瞬くん、私の事本当に好き?」

「咲良…僕と付き合って…」

「うん」

咲良はニッコリ笑うと僕の手をぎゅっと握った。


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