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悲しいぐらいにフシギな感覚の妹とそれを守りたい優しい棘。

 リビングのソファーに座るひなた。

「知ってたんだ…。だから茜、俺を避けてたんだ。」

「…。」

切なそうにに言うひなたを私は見つめた。

否定できない。

好きで好きでたまらないひなた。

知った今でも、そう…狂いそうなほど大好き。

「軽蔑しただろう?。するよな、フツー。」

「…。」

うんともしないとも言えない私。

「俺、隣に住んでた咲良の母さんの事が幼稚園の頃好きだったんだ…。」

なんの話しなんだろう?。

ひなたは切なそうに、でも少し微笑みを浮かばせながら話しを続けた。

「俺の父さんと咲良の母さんが再婚する事になって4人の生活が始まったんだ。いつもただ可愛いって思ってた咲良が一緒に暮らしていくうちにどんどん大好きな咲良の母さんと瓜二つになっていって、俺、いつの間にか咲良を大切に想う様になってたんだ。そんなある日、帰りが遅い咲良を心配して捜しに行ったら、あいつビリビリの服のまま、川岸でぼーっと座ってるんだ。どうしたのかって聞いたら、二人の男に襲われたって…。」

「…。」

私ははじめひなたがなんでそんな事を話すのか分からないで、黙ってひなたの話しを聞いた。

「大切な咲良をこんな目に遭わせて、死にたいほど悔しかったよ。」

「…。」

「俺、あいつが死んじゃうんじゃないかって気が狂いそうなほど心配であいつの部屋に行ったんだ。

そしたらあいつ全裸の自分の姿を鏡で映してて、俺に言うんだ…「忘れたいから、抱いてって。」

綺麗だった、あいつの身体…。。傷ついたあいつの心を守ってやりたかった。あいつが望むなら俺はこうやってあいつを守ってやろうって…咲良のこの傷を癒せるのは自分しかいないって、俺はなんの躊躇いもなくあいつを抱きはじめた。」

「…。」

「俺は妹を守りたかった。」

「…。」

「あいつは妹、咲良は大切な妹だよ。俺はお前が好きだから。」

真剣な眼差しで私の事が好きだと言ってくれるひなた、でも、咲良ちゃんへの愛情と私への好きの重みが比べ物にならないくらい違うって事が分かる。

「ひなた、それは違うと思う。あなたは咲良ちゃんを愛してるんだよ。だって、血の繋がった兄妹じゃないんだもの。あはっ、なんかおかしい。」

「茜?。」

「私、今ひなたと咲良ちゃんが本当の兄妹なら良かったのにって、思っちゃった。本当の兄妹なら違った意味で結ばれないから…。」

 

 聞くんじゃなかった、話して欲しくなかった…近親相姦じゃなかったという事よりも、咲良ちゃんの辛い過去、一番傷ついた彼女…その咲良ちゃんを守りたいと兄心のつもりのひなた。

ひなたは気づいていない咲良ちゃんへの兄妹以外の感情を…。

「茜?。」

血の繋がっていない妹への物凄い愛情を私は感じる。

なんかすごく切なくて、すごく苦しい。

咲良ちゃん以上には私はきっとなれない…。

だから、

「ごめんなさい。私…、もう、ひなたと付き合えない。」

遠まわしにされた好きな人の好きな人への愛の告白。

私はひなたに別れを告げ、部屋を飛び出した。



 フラフラと歩いて、気づいたら学校へ来ていた。

なぜだか分からないけど涙も出ない。

どうしてこんな所に来たんだろう?。

薄暗い電灯に照らされる校門。

1年の春、ひなたに一目ボレした私はここに朝早くひなたを呼び出し告白。

こんな目立つ所に呼び出すなんて…今思うと笑っちゃう。

今でもはっきり覚えてる。

あの時の、ドキドキした感じ、優しいひなたの顔、ひなたの優しい『いいよ。』の声。

好きで好きでたまらないよ。

私は校門を登り、保健室の一番角のベットの置いてある所の窓をよくサボリで寝ている生徒が開けておくらしく、たまに開いていると聞いた保健室の窓が開いていないか私は確かめる。

「開いてる。」

窓をそっと開け、少し怖いくらいの静かな保健室のベットで私は横になる。

怖いくらいの静けさが今の私には丁度いいのかも…。

ひなたは追っかけてくれない。

しばらく寝れたのに…また眠れない日が来るのかな?。

そっと目を瞑る。

意識が、遠く…遠く…深い眠りにつきそうなそんな感じの時、私の携帯電話の着信音が鳴る。

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