4思案の時間
紫蘭が帰るまでの間、どうするか?少し考えて、情報がやはり足りないと鈴音は思った。今は情報が欲しい。琉香に聞いてもよいのだが、斉蓮に聞いた方がより多くの情報が入るかもしれない、と思い琉香にたずねることにした。
「琉香。斉蓮様は、どうされているかしら?お時間を取っていただきたいのだけれど。お聞きしたいことがあって」
「はい。すぐに手配いたしますが、旦那様にも時間の都合がございます。急ぎであれば、早馬がようございますよ」
「そうね。お願いするわ、謁見の後鈴音がお会いしたいと伝言をお願い」
かしこまりました、と琉香は王太子宮の侍女に後を頼み早馬の手配にいった。その間、窓から王太子宮の外の景色を見てみる。思わず息をのんだ。
(大きい・・・斉蓮様の屋敷も大きいと思うけれど、それと比べても、ううん比べれないくらいに大きい)
「いかがされましたか?ああ、王太子宮の外の景色にございますね。ここからの景色は見ものだと以前、王宮勤めのものに聞いたことがございますわ「琉香。手配ができたのね、ありがとう。お返事はいつごろ、もらえるかしら?」
「そうでございますね・・・今からだと夕食前か途中くらいには返事の早馬がくるでしょう。夕食までの間、いかが過ごされます?鈴音様」
「少し休むわ。・・・思いのほか、疲れてるのかもしれないわ。気が抜けたみたい。一時間ほどしたら起こしてくれる?」
「ごゆるりと、お休みくださいませ」
返事を聞いてからベッドに向かい、ゆっくりと体を横たえる。すぐに睡魔が襲ってきてまぶたが落ちていく。鈴音は睡眠りの世界の住民となった。自分が思ったより、疲れていたのか、一時間たっても鈴音は起きようとしなかった。琉香が起こすも、起きる気配はなく。それから30分ほどしてから、鈴音は再び目覚めたのだった。気だるげにベッドから身を起こす。
「う・・・おはよう、琉香。いま、何時?」
お目覚めにございますね。よう眠られておいででしたよ。もう、紫蘭様とのご夕食の時間にございます」
「え!?ほんとにっ??」
その一言で一気に目が覚めた。鈴音のその様子に、琉香がくすくすと笑う。それをみて、まだ夕食まで時間があることに気づく。
「もう、琉香ったら。まだ時間あるじゃないのよ」
「ふふっ。申し訳ありません、鈴音様。正確には、あと一時間にございます。それまでに湯あみをして、お召しかえをいたしましょう」
「そうするわ。衣装は、控えめなものにしてね。来るときは少し華やかに感じたから」
「では、そのように。もう湯あみの準備はできてございます。こちらへどうぞ」
琉香の先導のもと、湯あみ処へいき丁寧に体を洗われる。これは、琉香だけでなく、王太子宮の鈴音つきの侍女たちも手伝う。こちらの世界にきてしばらくは、自分で体くらい洗える、と抵抗したものだが、それが彼女たちの仕事なのだ、とわかるとそのうち抵抗もしなくなっていった。恥ずかしいのには、変わりないが。。そうして、香油のマッサージを終え、今度はクリーム色っぽい衣装に身を包む。優しい印象を与える色合いだ。
「これなら、大丈夫ね」
「お似合いにございますよ。それでは、ご夕食の方は別のお部屋に用意してございますので、向かいましょうか」
「そうね、遅刻はしたくないし。紫蘭が先についてたらいけないし、向かいましょう」
鈴音は、琉香を連れ「食事の間」に向かったのだった。