幼き孤独な子
あたしはクリスマスが大嫌い。
ウキウキと楽しそうにしてる子達が大嫌い。
だけどそんな思いに反して周りは、またいつものように浮かれてしまっている。
すでにここは「サンタクロ―ス」や「ツリー」などの飾りで、溢れかえっていた。
イルミネーションはうざったい。
目がチカチカする。
みんなはサンタクロ―スから何を貰おうかとプレゼントを悩んでいるみたいで、おもちゃ屋さんのチラシを見てあれこれと話し込んでいる。
とてもみっともないと思う。
幼稚園だけでなく外にいる大人達もそれぞれでバタバタしている。
そんな様子を、ユイは1人でブランコに揺れて見ていた。
とても冷めた瞳で。
幼稚園の制服に身を包んで、お遊戯の時間を退屈そうに過ごしている。
みんな今日がクリスマスということもあっていつも以上に元気にはしゃいでるが、ユイのいるブランコの周りは誰も近寄ろうとしなかった。
それに気づいた先生がこっちに来て笑顔で言う。
「ユイちゃん、みんなと一緒に遊びましょう?」
ユイは首を横に振って、イヤと答えた。
とたんに先生の笑顔が一瞬引きつる。
困惑的なご機嫌取りの笑顔になりながら「またか」と内心思っているに違いなかった。
「どうして?今日は楽しいクリスマスじゃない?みんなで楽しく過ごしましょうよ」
「クリスマスなんて関係ない」
淡々とユイは話す。
「そんな…。ユイちゃんどうしたの?なにか誰かに嫌な事でもされたの?」
「全然違う」
「じゃあ、みんなと遊びましょうよ?」
だんだんと本当に困ってきたのか、先生から笑顔が薄れかかる。
どうしてユイが不機嫌なのか、いつもの事ではありながら理解できずにいたからだ。
少しの間、沈黙してユイは口を開く。
「嘘つきだから」
「え?」
上手く聞き取れなかった先生は聞き返す。
「サンタなんていないって言ったらみんなに嘘つきって言われたの」
ユイは知っていた。
サンタクロースなんていないこと。
童話とかおとぎ話とかの夢見がちな作り話ということ。
なのに、ユイの言葉にみんなは言う。
「ユイちゃんの意地悪!」
「ユイちゃんは嘘つき!」
ユイは本当の事の言っているだけなのに。
どうして現実を見ないの?
幼いながらユイの思考はとても大人びたものだった。
現実にはそんな夢みたいな話はない。
なのに
「先生は嘘ついてないよ?だってサンタさんはいい子にしているみんなの為にプレゼントを持ってくるのよ」
その言葉にユイは先生をきつく睨んだ。
「言い訳なんかいらない!どうして先生が嘘つくの?現実にサンタなんて居ないのに。みんなに夢見せてどうするの!?」
先生は俯いてとうとう黙り込んでしまった。