ふたりの行く先は
真っ白な雪が降り積もるだけの場所。
小柄で華奢な体つきをしている少年が問いかける。
「ねぇ、次は何処に行くんだい?」
しかし、しばらく待っても返事が返ってこない。
それにイラつきを覚えたのか、今度は強めの口調で
「おい!次はどこだと聞いてるんだっ!!」
上を見上げて相手の顔を見る。
身長の差が激しいのか、少し苦しそうに見上げていた。
「そんなに大きい声出さなくても聞こえてますよ」
おおらかな印象を受ける、優しい笑顔の青年。
「だったら最初っから返事をしろ!こっちが馬鹿みたいじゃないか!」
口を思いっきり尖らせ、相手を睨みつける。
「ははっバレました?ちょっと面白いと思ったので……」
ふと、何かを思い出したかのように、首に掛けていた懐中時計を出し時間を確かめ始めた。
「ちょっとふざけ過ぎましたね。少し急ぎましょう」
「ふん。全く僕が大変になるだけなんだからね。しっかりしてよ」
やれやれといった感じで肩をすくめる少年。
物の言い方が上から目線で少し憎たらしいが、相手はそれ何も言わず流した。
少年も分かっているのか、何も言わず正面へと真っ直ぐ手を伸ばし、沈黙する。
すると、手に光が宿り、空間の歪みが開く。
歪みの向こうは闇しか見えず、先が見えないほどの暗さだ。
「では、行きましょうか」
そう言って微笑み、怯えることもなく歩き出す。
「…でしゃばりやがって。僕がやったのに…って置いて行くな―っ!!」
少年も闇を恐れることもせず、置いていかれないようにパタパタと走る。
そして2人は空間の歪み――闇の中へ消え去った。
これは小さな奇跡と願いのお話である